「最高権力者の権力乱用」韓国・ユン前大統領に懲役10年求刑 検察の指摘は?「犯行隠蔽のため国家機関を私物化」

2025年12月26日 政治 #時事ジャーナル
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韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が、12・3非常戒厳以降に起訴された事件の裁判で初めて求刑を受けた。

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チョ・ウンソク内乱特別検察チーム(内乱特検)は12月26日午前、ソウル中央地裁・刑事35部(ペク・デヒョン部長判事)の審理で開かれた尹前大統領の裁判の結審公判で、逮捕妨害の容疑については懲役5年、国務委員の審議権侵害および虚偽公報・秘話フォン現出妨害(職権乱用)については懲役3年、非常戒厳宣言文の虚偽作成に関連する虚偽公文書作成などについては懲役2年と、計10年を言い渡すよう求めた。

内乱特検はこの日の最終意見陳述で、尹前大統領が非常戒厳の宣言と解除の後、自身の犯行を隠蔽し正当化するため“国家機関を私物化した”と規定。

「被告人の犯行によって大韓民国の法秩序が深刻に毀損され、被告人を信任して大統領に選出した国民にも大きな傷となった。それにもかかわらず、被告人は捜査と裁判の過程で国民に反省したり謝罪の気持ちを伝えるより、非常戒厳宣言の正当性と違法性を繰り返し主張した」と指摘した。

続けて、尹前大統領が「権限を手放す」としつつ大統領室を青瓦台から龍山へ移した事実などにも言及し、「帝王的大統領制を牽制するための憲法上の装置をまったく守らず、我田引水的に権力を乱用して本件の犯行に及んだ」と述べた。

さらに「二度と大韓民国の歴史において最高権力者による権力乱用犯罪が再発しないよう、厳重な責任を問う必要がある」とした。

尹前大統領は今年1月、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)による逮捕状執行を妨害するため、大統領警護処を私設の傭兵のように活用した容疑を受けている。

これとあわせ、12・3非常戒厳当日、一部の国務委員にのみ国務会議の招集を通知し、アン・ドックン前産業通商資源部長官など他の国務委員9人の憲法上の権限である国務会議の審議・議決権を侵害した容疑もある。

尹錫悦
尹錫悦前大統領(写真=共同取材団)

また尹前大統領は、戒厳解除後、非常戒厳が適法な文書によって行われたかのように見せるため、ハン・ドクス前国務総理とキム・ヨンヒョン前国防部長官が副署(署名)した文書によって戒厳が行われたかのような虚偽の宣言文を作成し、これを廃棄した容疑、ヨ・インヒョン前国軍防諜司令官らの秘話フォン通信記録の削除を指示した容疑などでも起訴された。

1審判決は来年1月16日に言い渡される。尹前大統領の拘束期限は来年1月18日に終了する。

(記事提供=時事ジャーナル)

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