韓国各地にある「創造経済革新センター」が設置から1年で、少なくない成果を出しているという。
創造経済革新センターとは、零細事業者や創業準備者を対象に、コンテンツの制作や事業化を総合的に支援する機関のこと。未来創造科学部(「部」は日本の「省」に相当)が制作費はもちろん、法律・会計・技術・販促など、事業上のほぼすべての部門にわたって支援する。
創造経済革新センターは、朴槿恵政権の国政課題である“創造経済”の肝と言える。朴槿恵大統領が革新センターの開所式にすべて出席して、機能強化を直接指示するほど力を入れている事業だ。
革新センターは、去る2014年9月、大邱市を皮切りに、2015年7月まで全国17カ所に設置された。地域経済を発展させることが目標で、創業アイデアの事業化に必要なすべての過程を担い、大企業と関係機関の力量を結集して支援する。
その大企業には、サムスン、ヒュンダイ自動車、SK、LG、ロッテ、ネイバー、カカオ・アモーレパシフィックと一流どころがずらり。
未来創造科学部によると、全国の創造経済革新センターは、2016年2月1日時点で、スタートアップ・中小企業計796社を支援し、1520億ウォン(約150億円)の投資誘致を引き出したという。中小企業の技術支援は593件、創業希望者などへのコンサルティングは1万2711件も実行されている。試作品の数も4826件に上った。
成果は少なくないのだろう。だが、根本的な問題もある。
革新センターは何をするところなのか曖昧だという批判だ。既存の政策成果を革新センターの成果としているという指摘も。韓国メディアによると、財界の一部からは政府の基調に耐えられず、支援をする“ふり”ばかりしているという話もあるそうだ。
ある専門家は「既存のセンターとプログラムを創造経済と名前だけ変えているだけ」と指摘。「単純に空き部屋を貸して空間を与えたとしても、経済が活性化しない。悪く表現すれば、見せ掛けだけの行政をしている」と批判する。
国会立法調査処は、2015年末に発刊した「創造経済革新センターの現状と課題」という報告書で、革新センターに関する法的根拠がないため、政権交代時には存続自体が不確実であること、そのため各革新センターが評価を意識して創業支援よりは短期的に具体的な成果を出せる事業に没頭していると指摘した。
いずれにせよ、一長一短という評価がつきまとっている創造経済革新センター。新たな産業を生み出す“創造経済”は実現されるのだろうか。
前へ
次へ