韓国の最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表に対する「司法リスク」のうち、最大の難関とされていた「偽証教唆」の疑いが法廷で原点に戻った。
イ代表に無罪を言い渡した1審の裁判所は、故キム・ビョンリャン元城南市長の秘書出身であるキム・ジンソン氏の偽証に、イ代表が関与したとみなせる直接的な証拠がないと判断した。
検察は、イ代表がキム氏に電話で「そのような話を聞いたと言えばいい」と発言し、弁論要旨書まで提供した点を強調したが、裁判所は「故意性」などをすべて否定し、容疑が成立しないとみなした。
一方でキム氏は偽証を行った容疑が認められ、罰金500万ウォン(約55万円)が言い渡された。そのため、「偽証を行った者はいるのに、教唆した者がいないというのは理解できない」という反応が出ている。
法曹界では控訴審で結果が覆る可能性を排除できないとの見解が支配的で、2審で検察とイ代表の激しい法理論争が避けられない見通しだ。
11月26日、法曹界によると、ソウル中央地裁・刑事合議33部(キム・ドンヒョン部長判事)は前日、偽証教唆の容疑を受けたイ・ジェミョン代表に無罪を言い渡した。
裁判所はイ代表とキム・ジンソン氏が通話していた当時の状況を総合すると、記憶に反する証言をするよう教唆したとは見なしがたいと判断した。
2人が事件に関連して通話した時点では、キム氏が法廷で証言を行うかどうかや、具体的にどのような内容を証言するかが確定していなかった点などを考慮すると、イ代表の偽証教唆容疑は成立しないということだった。
裁判所は「イ代表が(キム氏の)各証言が虚偽であるという事実を知っていた、あるいは知ることができたとみなすのも不足している」と判断した。さらに「イ代表とキム氏の通話内容が、イ代表がキム氏に虚偽の証言を求めたとみなすのは難しい。提出された証拠だけでは、イ代表がキム氏に偽証させるために教唆する意図があったとは見なしがたい」とした。
偽証教唆は、相手に偽証を行う決意をさせる故意的行為が必要だ。しかし、イ代表には教唆の故意、すなわちキム氏に偽証を行う決意をさせようとする意図が不足しているとの説明だ。
法曹界では、裁判所の今回の決定について「被告人の防御権の範囲を過度に広く適用し、従来の判例にも反する部分がある」と指摘する声が少なくない。
特にイ代表がキム氏に電話をかけた行為そのものや、複数回連絡を取って弁論要旨書(被告人の立場を記した意見書)まで提供した点を、裁判所が十分に考慮していないという反論が提起されている。
被告人を含む事件関係者間で立場が調整され、証言が操作される可能性が排除できないにもかかわらず、1審ではこの部分を見過ごしたとの解釈だ。
刑事事件を専門とするA弁護士は「イ代表が『記憶にある通り証言してほしい』と言ったが、これは偽証教唆事件で使われる典型的な手法」と説明した。
キム氏が処罰を覚悟してまで偽証を強行した理由についても、その関連性が明らかになっていない。
検察出身のアン・ヨンリム弁護士(法務法人ソンスン)は「裁判所は検察が主張する教唆の範囲を厳格に審理したようだ」とし、「キム氏が否定していない事項についてのみ『明確に証言を求めた』と判断した点も、教唆とみなす余地があるためだ」と語った。偽証を行った人はいるが、教唆した人がいないというのは理解しがたいという指摘だ。
控訴審で検察が証拠を補強すれば、1審を覆せるのではないかという意見もあるが、追加で補強できる証拠はないだろうとの観測もある。
そのため、1審で認められた証言を控訴審の裁判所がどのように判断するかによって結果が左右されるだろうとの見方が多い。教唆の行為をどこまで認められるかも注目すべき点だろう。
従来の偽証罪を法理に従って判断すれば、イ代表に有罪が言い渡される可能性が高いとの見方があるなか、法曹界では検察とイ代表側の双方が法理の誤解を主張するため、最高裁まで裁判が進む可能性が高いとみている。
ソウル中央地検は前日、イ代表に無罪が言い渡されたことについて声明を発表し、「キム・ジンソンがイ・ジェミョンの要請で虚偽の証言をしたと自白し、裁判所がイ・ジェミョンの教唆行為によってキム・ジンソンが偽証を行ったと判断しながらも、イ・ジェミョンに偽証教唆の故意がないとみなしたことは、法理と証拠関係に照らして納得しがたい」と述べ、控訴する方針を明らかにした。
(記事提供=時事ジャーナル)
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