過去14年間、韓国の民主党系政党が返還していない、いわゆる「持ち逃げ」された選挙費用が保守党系政党の2倍以上に上ることが明らかになった。
ただし、返還対象となる金額自体は、保守系が約19億ウォン(約2億300万円)多かった。
選挙のたびに政党を問わず、選挙犯罪が頻発するなか、不正に使用された選挙費用が適切に回収されていない実態が浮き彫りとなった。
『時事ジャーナル』が韓国の中央選挙管理委員会を通じて独占入手した「政党別選挙費用返還状況」資料によると、今年7月末時点で、過去14年間に行われた8回の選挙で返還されていない選挙費用は総額196億2100万ウォン(約20億9500万円)に達した。
このうち、民主党系政党が返還していない金額は12億5600万ウォン(約13億4000万円)で、保守系(5億3400万ウォン=約5700万円)の2倍以上に上る。
一方で、返還対象金額自体は保守系政党が84億2400万ウォン(約9億円)で、民主系(65億4200万ウォン=約7億円)より19億ウォンほど多かった。また、選挙犯罪者数も保守系が130人と、民主系の83人を大きく上回った。
この資料は、第18代(2008年)~第21代(2020年)の国会議員選挙4回、第5回(2010年)~第8回(2022年)の全国同時地方選挙4回(再補欠選挙含む)における選挙費用返還状況を扱ったものだ。
現行法では、候補者が選挙犯罪により当選無効判決を受けた場合、中央選挙管理委員会を通じて選挙費用の返還を求めるよう規定されている。期限内に返還しない場合は、税務署長に徴収を委託するものの、実際には選挙費用を強制的に回収する方法がなく、返還率が低い現状がある。
政党別に見ると、民主党系政党では、3回の総選挙と5回の地方選挙で選挙犯罪者20人が選挙費用を返還していない。
総選挙の場合、「共に民主党」所属の選挙犯罪者2人が第20代総選挙で1億5300万ウォン(約1600万円)、第21代総選挙で7800万ウォン(約830万円)をそれぞれ未返還だ。また、「民主統合党」所属の1人も、第19代総選挙で発生した1億8800万ウォン(約2000万円)を返還していない。
地方選挙の未返還額はさらに大きい。
「共に民主党」は第7回と第8回地方選挙で31人の選挙犯罪者が発生し、総額約17億ウォン(約1億8000万円)を返還する必要があるが、このうち10人が4億4700万ウォン(約4800万円)を返還していない。
第6回地方選挙では「共に民主党」が2200万ウォン(約240万円)、「新政治民主連合」が1億100万ウォン(約1100万円)を未返還。第5回地方選挙では「共に民主党」所属の1人が2億6700万ウォン(約2900万円)を返還していない。
保守系政党は相対的に返還率が高い。
総選挙では平均して選挙犯罪者3人が発生し、約4億6600万ウォン(約5000万円)の返還対象金額が発生しているが、2023年7月末時点で全額が返還されている。
ここには「親朴連帯」「ハンナラ党」「自由先進党」「セヌリ党」「自由韓国党」「未来統合党」などが含まれる。
ただし、地方選挙では約5億ウォン(約5300万円)が未返還となっている。これには、第8回地方選挙における「国民の力」所属の選挙犯罪者5人による1億5100万ウォン(約1600万円)や、第7回地方選挙に関連する「自由韓国党」所属の4人による2億4700万ウォン(約2600万円)が含まれる。
現在は存在しない「第3勢力」の旧政党による未返還の選挙補助金も、依然として残っていることがわかった。
前回の大統領選挙で「国民の力」と合併した「国民の党」の場合、第20代総選挙に関連する選挙犯罪者6人が、依然として5億5000万ウォン(約5900万円)を返還していない。第7回地方選挙では「正しい未来党」所属の選挙犯罪者2人が2億8500万ウォン(約3000万円)を未返還のままだ。
「選挙費用の持ち逃げ」問題は、「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が公職選挙法違反事件の1審で当選無効判決を受けたことで再燃した。
李代表の判決が最高裁で確定した場合、「共に民主党」は選挙補助金434億ウォン(約46億3700万円)を返還しなければならない。しかし、現行法ではこれを回避できる抜け道が多いとの与党の指摘が浮上している。
最近、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾手続きが始まったことで「大統領選の時計」が加速すると予想されるなか、与党は有力な大統領候補である李代表を標的とした「司法リスク」攻勢を続ける見通しだ。
(記事提供=時事ジャーナル)
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