韓国の有名インナーウェアメーカーであるサンバンウルが上場廃止となる。
かつて韓国を代表するインナーウェア企業だったサンバンウルは、なぜ証券市場から退場することになったのか。これまでの経緯を振り返る。
業界関係者によると、サンバンウルは2月26日に上場廃止となる。サンバンウルグループのキム・ソンテ元会長が98億ウォン(約10億3000万円)を横領・背任した疑いで、2023年7月に株式取引が停止されてから、1年7カ月余りが経過した。
韓国取引所は2023年9月にサンバンウルの上場廃止を決定し、1年間の改善期間を付与した。その後、サンバンウルの改善計画の履行状況を審査した取引所は今年1月、一度判断を保留したものの、2月11日に最終的に証券市場からの退場を確定させた。
1954年に設立されたヒョンジェ商会を母体とするサンバンウルは、一時は韓国を代表するインナーウェア下着企業だった。
1992年には公正取引委員会から「大規模企業集団」に指定され、錦湖アシアナグループ、三養グループ、大象グループ、ハリムグループ、富栄グループなどと並び、全羅道を代表する企業とされていた。
最初の危機は、1997年のIMF(アジア通貨危機)だった。当時、無理な事業拡大による流動性の危機に直面し、倒産に追い込まれた。以降、サンバンウルは2002年にアドアセット(現SBWホールディングス)、2004年に大韓電線グループに次々と株式を買収され、経営権が移った。
二度目の危機は、2010年にキム・ソンテ元会長が率いるレッドティーグラスに買収されたことで発生した。暴力団出身で違法貸金業を営んでいたキム元会長がサンバンウルの買収過程で不正を働き、株価操作が発覚したのだ。
サンバンウルはその後、クァンリムに買収されたが、クァンリムの最大株主がキム元会長だったため、引き続き彼の支配下にあった。その後もサンバンウルはキム元会長の不正と関連し、様々な論争の中心となった。
今回の上場廃止の背景となった横領・背任事件のほかにも、違法な北朝鮮への送金疑惑、最大野党「共に民主党」李在明(イ・ジェミョン)代表の弁護士費用肩代わり疑惑、キム・ファヨン元京畿道平和副知事への賄賂提供疑惑など、様々な事件で社名が取り沙汰された。
これによりキム元会長は、2022年6月に海外へ逃亡したが、翌2023年1月に逮捕され、裁判にかけられた。この一連の過程を経て、サンバンウルの企業競争力は低下し続けた。
サンバンウルは、取引所の上場廃止決定が下される直前の今年1月、ネイチャーリパブリックに売却された。当時、ネイチャーリパブリックのチョン・ウンホ代表が40%の株式を保有する世界プライム開発は、70億ウォン(約7億3640万円)を投じてクァンリムが保有していたサンバンウル株12.04%を取得した。
グループの主力企業を失ったサンバンウルグループは、2月4日に事実上の解体を宣言した。
特装車メーカーのクァンリム、光学フィルターおよびホールセンサー製造企業のヒューチャーコア、女性用インナーウェアメーカーのVIVIEN、エンターテインメント企業のNS ENM、IT流通企業のDMOAなど、かつてサンバンウルグループに属していた企業は、それぞれ独立した意思決定機関を設置し、単独経営へと移行することになった。
サンバンウルグループの関係者は「グループの中核企業であるサンバンウルの最大株主が交代したことで、過去のしがらみを完全に断ち切り、独自の道を歩むことを内外に宣言した」と述べ、「今後、各企業はそれぞれ独自の生き残り戦略を模索することになる」と明らかにした。
(記事提供=時事ジャーナル)
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