裁判所が「内乱の首謀者」容疑で拘束・起訴されていた尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の拘束取り消し請求を認めた。
これは、拘束・起訴の過程で手続き上の問題があったと判断したためだ。
この決定が、まもなく憲法裁判所で下される大統領弾劾審判に影響を与えるかどうかが注目されている。
すでに与党側は捜査当局を批判するとともに、憲法裁判所に「弾劾棄却」を求めている。一方、野党側は刑事裁判と弾劾審判は別問題であり、「弾劾の可否には影響しない」との立場を示している。
ソウル中央地裁・刑事合議25部(チ・グィヨン部長判事)は3月7日、説明資料を通じて尹大統領の拘束取り消しに関する具体的な争点と判断内容を明らかにした。
まず裁判所は、拘束期間が満了した状態で起訴されたとする尹大統領側の主張を認めた。尹大統領は1月15日午前10時33分頃に逮捕され、検察が起訴したのは1月26日18時52分だった。
裁判所は、拘束期限が切れた同日午前9時7分より、8時間以上遅れて起訴されたと判断した。
さらに、仮に拘束期間内に起訴されたと仮定したとしても、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の捜査手続きに問題があったため、いずれにせよ拘束は取り消されるべきとの立場を示した。
裁判所は「公捜処と検察はそれぞれ独立した捜査機関であるにもかかわらず、刑事訴訟法が定める拘束期間を法的根拠なく協議の上で分け合い、身柄引き渡しの手続きを経なかった」と指摘した。
また、公捜処の捜査範囲に内乱罪が含まれていない点も、裁判所の決定に影響を与えた。当初、公捜処は「職権乱用罪と関連する犯罪であるため、内乱罪も捜査権がある」と主張していた。
しかし、裁判所は「公捜処が捜査過程で内乱罪を認知したとする証拠はない」と判断した。
また裁判所は、捜査過程の手続きの適法性に関する疑問を解消することが望ましいとの立場も示した。疑惑を残したまま刑事裁判が進めば、上級審で判決が覆る可能性があり、将来的に再審請求の理由にもなり得るためだ。
さらに、証拠隠滅の懸念があるとする検察の主張も受け入れなかった。
今回の尹大統領の釈放が、弾劾審判の結果に間接的な影響を及ぼすかについて、意見は分かれている。
法律界では「弾劾審判と刑事裁判は別問題であり、直接的な影響はない」との見方が多い。弾劾審判は「公職を続けることが適切かどうか」を憲法的に判断するものであり、刑事裁判は「内乱などの犯罪について刑事責任を問う」ことが主な争点となるためだ。
しかし、一部では「尹大統領に対する世論が好意的に変われば、憲法裁判所も間接的な影響を受ける可能性がある」との指摘もある。
憲法裁判所は弾劾審判の過程で、法的判断だけでなく、社会的影響やその他の要素を考慮する必要があるためだ。特に、内乱罪に関する部分について、「捜査手続きに問題があった」とする裁判所の判断を憲法裁判所が無視するのは難しいとの意見も出ている。
与党はすぐに裁判所の決定を歓迎し、「違法な弾劾」と主張した。
「国民の力」のクォン・ソンドン院内代表は緊急記者会見で、「裁判所の判断が弾劾審判の過程でも十分に反映されることを期待する」と述べた。
ユン・サンヒョン議員はフェイスブックで「尹大統領の釈放こそが司法正義だ」とし、「釈放は当然の結果であり、不公正な社会が公正へと向かう第一歩となった」と評価した。また、「大統領の内乱罪容疑に関する主要な証拠や証言の信憑性に疑義が生じた」とし、「憲法裁判所は大統領の弾劾審判請求を棄却すべきだ」と主張した。
ソン・オンソク議員も「捜査権のない公捜処による違法捜査の手続き上の瑕疵と違法性が指摘された」とし、「拘束取り消しを機に、不当な弾劾も速やかに棄却されるべきだ」と述べた。
一方、最大野党「共に民主党」は「刑事訴訟手続きの問題にすぎず、弾劾審判とは無関係だ」との立場を示した。
李在明(イ・ジェミョン)代表をはじめとした指導部は、ハン・ミンス報道官を通じて「内乱の首謀者である尹錫悦が釈放されたとは何事か。検察は直ちに抗告すべきだ」とし、「今回の裁判所の決定は、憲法裁判所の弾劾審判とはまったく無関係であり、影響を与えるものではない」と強調した。
「共に民主党」の法務委員長であるイ・ヨンウ議員も論評を通じて、「裁判所の拘束取り消しは、内乱罪の実体を否定したものではない。拘束期間の算入に関する検察と裁判所の解釈の違いが拘束取消の理由となった」と述べた。
また、「裁判所は公捜処の捜査権自体を否定したわけではない」とし、「今回の件は尹錫悦の内乱罪に関する刑事訴訟手続き上の問題であり、弾劾審判とは何の関係もない」と主張した。そして「大統領罷免は確実だ」と付け加えた。
(記事提供=時事ジャーナル)
■「弾劾は棄却される。尹大統領は復帰後、改憲して途中退任する」と大統領室高官
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