法廷の拘束取り消しにより釈放され、ソウル漢南洞(ハンナムドン)の大統領公邸に復帰した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の今後の動向に注目が集まっている。
憲法裁判所の弾劾審判の結果が出るまで、できる限り抑制された姿勢を示すとの見方が大統領室から示されている。
一方で、一部では弾劾審判を控え、支持層に向けて積極的なメッセージを発信する可能性も指摘されている。
1月15日に逮捕令状が執行されて以降、52日間収監されていた尹大統領は、当面は外部での活動を控え、今週にも出る可能性のある憲法裁判所の弾劾審判の結果を見守るとみられる。
大統領室の関係者は、『聯合ニュース』を通じて「憲法裁判所の判決を控えているため、訪問者とは時折会うことはあるだろうが、外部活動は控える見込みだ」と述べた。また「メッセージを出すとしても極めて抑制的なものになるだろう」とし、「謙虚かつ淡々と憲法裁判所の判決を待つ姿勢を示す可能性が高い」と付け加えた。
尹大統領は現職の大統領であるものの、国軍統帥権、法律改正案の公布権、公務員の任免権、国務会議の招集、各省庁の報告聴取および指示などの権限は引き続き停止された状態にある。参謀から主要業務や懸案事項について「聴取」することはできるが、大統領室への出勤や公式な報告は禁じられている。
外部活動に制約はないものの、当面は大統領公邸に留まり、大統領室や与党「国民の力」関係者、弁護団などとの接触に限るとみられる。弁護団とは、憲法裁判所の弾劾審判とは別に進行中の内乱容疑に関する裁判への対応策について協議する予定だ。
大統領室の参謀陣から公式な報告を受けることは難しいが、これまでの国政懸案に関する参考資料などには目を通すとみられる。
大統領室の関係者は「憲法裁判所が弾劾を棄却した場合、直ちに業務に復帰しなければならない」と述べ、「国政に支障をきたさないためにも、滞っていた懸案を把握しておくことは必要だ」と強調した。
尹大統領は3月8日、大統領公邸に復帰した後、チョン・ジンソク秘書室長らと夕食を共にしながら、「国家と国民のため、今後も大統領室が揺らぐことなく国政の中心をしっかりと維持してほしい」と語った。
一部では、尹大統領が弾劾審判を前に支持層に向けて積極的にメッセージを発信したり、弾劾反対集会に参加したりするなど、外部活動に乗り出す可能性も指摘されている。
また、尹大統領が憲法裁判所の弾劾審判を前に世論戦に積極的に臨む可能性もある。収監中も直筆の手紙を通じて頻繁にメッセージを発信し、「獄中政治」と評されたように、大統領公邸に籠もっていても拘束されているわけではないため、様々な手段を駆使して自身の主張を発信するだろうとの見方がある。
収監中は弁護人を通じてメッセージを発信していたが、今後はインタビューや記者会見なども検討する可能性がある。
尹大統領は3月8日18時20分頃、大統領公邸に到着した後、飼い犬を抱きしめ、夫人のキム・ゴンヒ氏、チョン・ジンソク秘書室長、キム・ソンフン大統領警護処次長らと共にキムチチゲを囲んで夕食をとった。
この席で尹大統領は「健康には問題ない。よく眠れるようになったので、むしろ健康になった」とし、「拘置所は大統領が行っても学ぶことが多い場所だ」と述べた。
さらに「聖書をたくさん読んだし、刑務官が厳しい環境で苦労しているのを見た」と語り、「過去に拘置所に入った知人たちのことを一人ひとり思い出しながら、彼らはどう過ごしていたのか考えてみた」と付け加えたと、大統領室の関係者が伝えた。
(記事提供=時事ジャーナル)
■「弾劾は棄却される。尹大統領は復帰後、改憲して途中退任する」と大統領室高官
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