ベトナムに進出している韓国企業が、ドナルド・トランプ米大統領による“関税爆弾”に怯えている。
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米中貿易摩擦を避ける避難先として選んだベトナムで、今度は「46%の関税爆弾」に直面したためだ。
ベトナムは2600社を超える韓国企業と、1万件以上の事業プロジェクトが進行している韓国の“第1の生産基地”だ。低い人件費と高い経済成長率を誇るベトナムで成長の原動力を模索してきた韓国企業が、予想外の難関に直面している。
現在、トランプ政権による関税措置で最も大きな打撃を受けているのは、ベトナムでスマートフォンなどを生産する電機・電子製品業界だ。
半導体はなんとか関税を免れたが、半導体を組み込んで製造されるスマートフォンや冷蔵庫といったハードウェアは、関税の直撃を受けている。業界では、ベトナムで生産拠点を運営しているサムスン電子、サムスン電機、LG電子などが、関税の影響で相当な打撃を受けると予測されている。
スマートフォン全体の50%をベトナムで生産しているサムスン電子は、関税政策に変化がなければ、市場シェアや営業利益率が大きく低下すると見られている。
韓国投資証券のチェ・ミンスク研究員は「サムスン電子の対米スマートフォン輸出分すべてがベトナム生産だと仮定した場合、昨年基準でMX事業部の営業利益率は9%から3%へと6ポイント下がる」と述べ、「トランプ政権1期のときのように、アップルが関税適用対象から除外されれば、サムスンは価格引き上げすら難しくなり、営業利益とシェアの低下は避けられない」と分析した。
ベトナム・ハイフォンで洗濯機と電装品の工場を稼働させているLG電子は、アメリカ工場の増設を検討中だ。ベトナムで生産している洗濯機の一部が北米に輸出されており、この生産量をアメリカ国内で消化できるよう転換を図るという。
LG電子は、トランプ政権1期の関税政策に対応するため、テネシー州に工場を建設したことがある。LG電子の関係者は「アメリカ国内の工場および、今回の関税対象から外れているメキシコの工場で最大限対応するのが第1の計画」と語った。
第1四半期に過去最大の業績を記録したLG電子は、関税の影響を受け、第2四半期の営業利益予想を従来より6.5%下方修正した。
グローバルな衣類OEM(受託製造)・ODM(開発製造)市場で、規模を拡大してきた繊維・衣類業界も非常事態だ。
トランプ政権1期時に中国との貿易戦争を避けるため、ベトナム工場の規模を拡大してきたが、相互関税により受注はもちろん、工場稼働にも支障をきたす可能性が高まっている。
ベトナムに工場を持つハンセ実業、ヨンウォン貿易は、対米輸出比率がそれぞれ85%、60%に達する。ベトナムに工場を構えるOEM企業の関係者は、「ベトナムでの生産量があまりに多いため、中南米の工場に振り分けるのも難しい状況」とし、「カンボジア(49%)、バングラデシュ(37%)など他の東南アジア地域でも関税率が高く、代替策がない」と話した。
特に衣類は、関税の賦課が価格上昇と消費縮小につながる可能性が高いため、緊張感が一層高まっている。米コンファレンス・ボードによると、3月のアメリカの消費者信頼指数は92.9で、過去4年で最低値を記録した。
大信(テシン)証券のユ・ジョンヒョン研究員は「繊維・衣類企業にとっては、関税発効そのものも問題だが、関税が消費者価格の上昇を引き起こし、生産需要が減ることのほうが大きな懸念」と説明した。
業界では、ベトナムで生産拠点を運営しているLSエコエナジー、暁星化学、クムホタイヤなども、関税の余波を免れないだろうと見ている。ただし企業側は、すぐに工場移転を決定するのではなく、しばらくはベトナム政府による関税交渉の行方を見守る方針だ。
トランプ政権が水面下で関税交渉を進めているうえ、ベトナムに代わる生産拠点を探すのも難しい状況だからだ。ベトナムに進出している韓国企業は、「駐ベトナム韓国商工人連合会」を中心に対応策を模索している。
一方、ベトナム政府も関税率引き下げに向けて総力を挙げている。
4月6日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)などによると、ベトナム共産党のトー・ラム書記長は最近、トランプ大統領に書簡を送り、45日間の関税猶予を要請した。また、ベトナムは対米関税を0%に引き下げる案まで提示したとされる。
オランダの金融グループINGによると、ベトナムに課された46%の関税が解消されなければ、ベトナムのGDPは5.5%減少する見通しだという。
(記事提供=時事ジャーナル)
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