尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻キム・ゴンヒ氏に関連する疑惑を捜査中のミン・ジュンギ特別検事チームが、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁の元秘書室長であるチョン氏を8月8日に続き、20日にも再び呼び出して調査していることが確認された。
チョン氏は、霊能師「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏を通じて、キム・ゴンヒ氏に高価なネックレスやバッグなどを渡したとされる、統一教会の元高位幹部ユン・ヨンホ氏と並ぶ韓鶴子総裁の最側近として知られている。
特検チームは、8月20日午前10時から被疑者の身分でチョン氏を呼び出し、ユン・ヨンホ氏の請託事件などを調べている。
2020~23年に世界平和統一家庭連合の世界本部長を務めたユン・ヨンホ氏は、先の調査で「上層部の決裁を受けて進めた」と述べ、チョン氏を介してキム・ゴンヒ氏に高価な金品を渡した経緯を供述したとされる。
また、第20代大統領選挙前に「親・尹錫悦派」で、保守政党「国民の力」に所属するクォン・ソンドン議員への資金支援についても、韓鶴子総裁の許可を受けて行ったという趣旨の供述をしたと伝えられている。
チョン氏は韓鶴子総裁の元秘書室長で最側近の一人であり、ユン・ヨンホ氏の供述の信ぴょう性を裏付ける核心人物だ。チョン氏は、特検チームの捜査が本格化した7月にアメリカへ出国したが、最近帰国した。
拘束中のユン・ヨンホ氏とともに、教団の訴訟など主要案件を処理してきたとされ、また韓鶴子総裁を補佐するなかで、教団資金の処理など敏感な事案も長く担当してきたという。チョン氏は8日の初回調査に続き、半月余りで再び特検チームに呼び出された。
今回の調査は、旧統一教会をめぐる疑惑が第20代大統領選や党大会など「国民の力」の選挙介入疑惑にまで広がるなかで行われた。
特検チームは、ユン・ヨンホ氏がチョン・ソンベ氏を通じてキム・ゴンヒ氏にブランド品を渡し、教団の懸案を請託しただけでなく、教団レベルで「国民の力」の選挙支援に乗り出したのではないかという点も調べている。
キム・ゴンヒ氏は8月12日、旧統一教会をめぐる複数の疑惑に関連し、特定犯罪加重処罰法違反(斡旋収賄)をはじめ、ドイツモーターズ株価操作(資本市場および金融投資業に関する法律違反)、公認介入(政治資金法違反)などの容疑で拘束された。
キム・ゴンヒ氏はこれらの疑惑について、「事実無根」との立場を示している。クォン・ソンドン議員も疑惑を否定した経緯がある。
議論の中心に立つ旧統一教会側はこれまで、ユン・ヨンホ氏やチョン・ソンベ氏の請託疑惑に端を発する一連の疑惑について、「ユン・ヨンホ氏の個人的な決定」であり、教団として関与したものではないと線を引いてきた。
(記事提供=時事ジャーナル)
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