11月17日に行われる「2017年度大学修学能力試験」、略して“スヌン(修能)”は、全国の約60万5988人が受験する予定だ。
韓国ではスヌンの成績によって大学の合否が決まるため、受験生にとっては一大事だ。ただ、大変な思いをするのは、試験問題を出題する出題委員たちも同じのようだ。
スヌンが行われる約1カ月前から問題の出題が始まるのだが、そのために委員たちは、“合宿”という名の監禁生活に突入するのだ。
スヌンの出題機関「韓国教育課程評価院」によると、問題流出などの事故を防ぐために、合宿という形をとって出題を行っているらしい。合宿の開始日や場所などは保安上の理由で非公開。ただし、合宿が終わる日は、毎年「スヌンの日」と決まっている。
合宿生活には、いくつかルールが存在するという。
まず、入所前に行う秘密保安誓約によって、委員たちは合宿期間中の行動はもちろん、自分が出題委員だったことすら口外できない。
合宿所内でテレビの視聴は可能だが、携帯・スマホ、ファックス、インターネットなど外部と連絡が取れる手段は一切使用禁止。一度入所した後は外出も禁止で、事実上“監禁状態”と同然だ。出題委員たちが使った紙くずなども、合宿所の外に出ることはない。生ゴミも係員がチェックしてから捨てるそうだ。
ただ、直系家族が亡くなったときに限って外出の許可が得られるが、監視役として警察が同行し、与えられる時間も少ないらしい。
今年は、出題・検討委員をはじめ、行政職員、警備員などの約700人が合宿を行っているそうだ。合宿期間中、出題委員たちは緊張感が漂うなか、問題の出題に没頭する。特に今年は6月のスヌン模擬試験で問題流出事件があったため、セキュリティ対策も強化されたそうだ。
ちなみに、合宿に対する報酬は一日約30万ウォン(約3万円)。約1カ月間の合宿で約900万ウォン(90万円)の賃金がもらえるので、それほど悪い話でもなさそうだが、実際はそうでもないとか。
1カ月間ずっと監視されることと、完璧な問題を出題しなければならないというストレスが大きいためか、進んで出題委員を引き受ける人は多くないそうだ。
「自分が出した問題に間違いはないかという心配で眠れない人が多い。毎年数百人の出題委員を選定することは、かなり大変です」と、韓国教育課程評価院の関係者は言う。
それにしても、韓国においてスヌンがここまで重大なイベントであることに、改めて驚かざるを得ない。
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