昨今、高齢者の交通事故が多発している日本。
昨日(10日)もJR新宿駅付近で80代男性が運転する車が暴走し、2人がケガをしたという報道が出た。運転していた男性が、アクセルとブレーキを踏み間違えた可能性があるとして原因を調査中だという。
2019年4月におきた東池袋自動車暴走死傷事故をはじめ、全国各地で多発している高齢者の運転事故。抑止のため免許の自主返納も呼びかけられているが、地方では公共交通機関が不足していることから、そう簡単には進まないのが現状だ。
そんななか、同じく高齢者の交通事故が多発している韓国では、高齢者の免許について政府が新案を検討していることがわかった。
去る5月20日、国土交通部と警察庁などが出した交通事故死亡者減少対策には、「高齢者条件付き免許制」導入が含まれていた。
韓国では、高齢ドライバーによる死亡者数は2021年709人、2022年735人、2023年745人と着実に増加傾向を見せている。そのため、韓国政府は2022年から2024年末の期間、高齢者の条件付き免許制導入方案の研究用役を行っている。この結果を土台に、法改正など導入可否を本格的に検討するという。
韓国の「高齢者条件付き運転免許制度」とは、個々の能力によって運転許容範囲を区別するというもの。実際の運転能力に合った“条件付き免許”を発給し、夜間や高速道路での運転を禁止する方式が現時点では有力視されている。現在、韓国政府はインセンティブを与える高齢者への免許返納制度を運営しているが、返納率は2.4%と低調だ。
それとともに高齢者の運転適性検査も実施しているが、あまり効果がないとの声があがっている。65~75歳未満は5年、75歳以上は3年ごとに適性検査を受けなければならないが、どちらも形式的な検査でしかないため、正確な評価がなされているわけではないのだ。
高齢者の運転問題に関して、亜洲大学・交通システム学部のユ・ジョンフン教授は「単純に年齢が高いという理由で運転権を制限するのは不適切だ。高齢者だとしても能力は人それぞれであるだけに、精密な適性検査による結果をもとに免許更新の可否を判断しなければならない」とする一方で、「高齢者が公共交通を円滑に利用できるようにインフラを整備することも伴わなければならない」と述べている。
ただ免許を返納させて運転を禁止すればよいという単純な話ではないだけに、簡単に答えが出る問題ではないだろう。とはいえ、日韓共に早急な対応が必要であることは間違いないだろう。
(文=サーチコリアニュース編集部K)
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