日本の娯楽小説ジャンルの一種である、いわゆる「ライトノベル」を読んでいた生徒の本を取り上げ、「わいせつな本を読んでいる」と同級生の前で恥をかかせ、体罰まで行った韓国の中学校教師が執行猶予付きの懲役刑となった。
被害を受けた生徒は、この出来事があった当日に“極端な選択”をしてこの世を去った。
10月4日、法曹界によると、韓国最高裁・第3部(主審:オム・サンピル大法官)は、児童虐待犯罪の処罰等に関する特例法違反(児童福祉施設従事者等の児童虐待加重処罰)の容疑で起訴された中学校教師A氏の上告審で、懲役10カ月、執行猶予2年を言い渡した原審判決を確定した。また、40時間の児童虐待再犯防止講義の受講命令も下した。
中学校教師であったA氏は2019年3月、被害生徒B君(当時14歳)に20分間にわたって「うつ伏せ体罰」をさせ、「Bがわいせつな本を読んでいる」と同級生の前で公然と発言し、身体的・精神的に虐待した容疑をかけられた。
当時、B君が読んでいたのは「ライトノベル」で、タイトルや内容、挿絵までライトな内容が多く、青少年に人気のある小説のジャンルだ。
A氏は生徒たちが自由に読書できるように自主学習時間を設けた。そこでB君が問題のライトノベルを取り出して読むと、A氏は「これ、わいせつな本じゃないか」と言って本を取り上げ、叱責した。B君は「先生が思っているようなわいせつな種類の本ではありません」と弁解した。
しかしA氏は本のページをめくって挿絵を生徒たちに見せ、「この絵はわいせつだと思うか」と問いかけた。「わいせつです」という答えが返ってきたため、A氏はB君を教室の前に呼び出し、約20分間「うつ伏せ体罰」をさせた。また、別の生徒に本を渡し、「わいせつな部分を探し出せ」という趣旨の指示を与えた。
最終的にB君は、3時間目の授業中に教科書に「先生のせいでいじめられるようになった」という趣旨のメモを残し、命を絶つ行為に及んでしまった。
1審では、A氏に懲役10カ月の実刑判決が下された。1審裁判所は「被告(A氏)の行為によって、被害児童が同級生の前で感じた屈辱感や挫折感は極めて大きかったと見られる」と述べ、身体的虐待と情緒的虐待の両方を有罪と認めた。
2審でも1審の有罪判断を維持した。ただ2審では、A氏に被害生徒を意図的にいじめるつもりはなかったと見られる点、B君の悲劇的な結果まで予見できたとは思えない点を考慮し、刑を懲役10カ月、執行猶予2年に減刑した。
A氏はこの判決に不服として上告したが、最高裁は「原審判決に児童福祉法における情緒的虐待行為に関する法理の誤解はない」として、これを棄却した。教師による懲戒や指導の行為であっても、児童の精神的健康や福祉を損なわない範囲内で行われなければならないという、従来の判例を再確認したものだ。
(記事提供=時事ジャーナル)
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