少女像に続き、今度は「強制徴用労働者像」が登場。日韓関係の新たな火種になるか

2017年08月14日 国際
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韓国で少女像(=慰安婦像)が次々と設置されている中、今度は「強制徴用労働者像」が登場した。

日本統治時代、強制的に徴用されて日本企業で労働を強いられた朝鮮人労働者を称え、強制徴用問題を広く知らせたいという意味が込められているという。

韓国2大労組と言われる「韓国労働組合総連盟」と「全国民主労働組合総連盟」が主導する「強制徴用労働者像建設推進委員会」(以下、推進委員会)は8月12日、ソウル龍山駅広場と仁川・富平公園の2カ所で「強制徴用労働者像」の除幕式を行った。

ソウルで行われた式には日本統治時代に長崎県にある三菱重工業の造船所で1年2カ月間、強制労働したというキム・ハンス(98)さんが出席し、「永遠の平和はありえない。自分の祖国は韓国だということを、若者たちが頭に刻んでほしい」とコメントしている。

(写真=聯合ニュースTV)

強制徴用労働者像を製作したのは、少女像の製作者でも知られるキム・ウンソン、キム・ソギョン作家夫婦。

設置場所にも意味が

昨年8月24日、夫婦が初めて製作した強制徴用労働者像が日本の丹波マンガン記念館に設置されたことをきっかけに、夫婦と推進委員会は韓国での設置を進めてきた。実はすぐさま銅像が完成し、今年3月1月に除幕式を予定していたという。

ところが、「国有地である龍山駅広場に銅像設置は不適切」との理由で、朴槿恵政府が設置を不許可。今年5月に文在寅政府に変わり、ようやく設置が認められた。

銅像の設置場所として龍山駅広場が選ばれたのには、理由がある。

日本やサハリン州、クリル列島などへ送られた朝鮮人労働者たちの前哨基地となったのが、龍山駅だったのだ。もう一つの設置場所である富平公園は、日本軍の軍需品補給工場の向かい側に位置している。

今後はシリーズで

強制徴用労働者像は、少女像と違ってそれぞれ違う形をしているのが特徴だ。

龍山駅の像は、右手にはつるはしを持ったまま地下坑道から地上に出てきた労働者が、左手で日差しを遮る姿をしている。右肩には自由への渇望を象徴する鳥が止まっており、後ろ側には、「お母さん、会いたい…」と刻まれている。

仁川にあるのは、徴用労働者の父と、人権蹂躙の経験による不安や緊張を抱いたまま彼の右腕を掴んでいる15歳の娘の像。横1.5m、縦0.6m、高さ3mほどで、約900人の市民や市民団体が寄付した1億6000万ウォンで製作された。

推進委員会によると、今後は「シリーズ」として、あらゆる形の強制徴用労働者たちを製作していくつもりらしい。今年10月には慶尚南道と済州島に、来年には北朝鮮・平壌に強制徴用労働者像の設置を続けていく予定という。

少女像に続き、設置の動きが広がりそうな強制徴用労働者像。日韓関係において新たな火種にならなければいいのだが…。

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