“キムチ世界化”のために国家予算1000億ウォン投入した「世界キムチ研究所」の実態

2016年11月02日 経済
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韓国の「世界キムチ研究所」がなんの成果も生み出せていないとの指摘を受けている。

そもそも「世界キムチ研究所」とは、2010年に設立された研究機関のこと。設立目的を見ると、「キムチ関連分野の研究開発を総合的に遂行」し、「国内キムチ産業を食品産業の代表的な成長動力産業として育成・発展させる」ことが目的だという。

主な研究活動は、キムチの微生物研究、可能性の研究、製造技術の革新と品質向上の研究、衛生安全性の研究など。また、“キムチの世界化”に向けた研究も行っているそうだ。

というのも世界キムチ研究所は、李明博政権時代に推し進められた“韓食世界化事業”の最前線基地として設立された経緯があるから。2012年からは「キムチ産業振興法」を根拠に、韓国政府から幅広い支援を受けている。

設立してから現在まで、1000億ウォン(約100億円)の国家予算が投入された。

が、目に見える成果を上げていない。それどころか監査院から予算の不当使用を指摘されている有様だ。

もちろんキムチの世界進出に向けて、何もしてこなかったわけではない。設立から最近まで日本、中国、ベトナム、チリ、ペルー、フランスなどで広報イベントを開催しようと、職員一人当たり平均1回の海外出張も行っている。それでも得たものはほとんどないという。

問題提議した韓国のとある議員はさらに指摘する。

「世界キムチ研究所の職員は、全体の30%ほどが研究職ではない支援業務を担当する行政職だ。“研究のための組織”ではなく“組織のための組織”に変質している」

世界キムチ研究所のパク・ワンス所長は、とある韓国メディアとのインタビューでこう答えている。

「独島(竹島の韓国呼称)とキムチは韓国の魂だ。キムチがグローバル・トレンドの一つになるためには、各国の文化的観点から接近しなければならない」

そして、こう続けた。

「研究所の主な業務は、キムチの優秀性を立証して広く知らせること。微生物を総合研究して産業を発展させるための技術を開発する。さらにキムチの世界化のために、各国の好みに合うキムチを広報したい」

所長の意気込みとは裏腹に、目に見えた成果が出ていないと指摘されている世界キムチ研究所。今後、逆転はあるのか。“キムチ世界化”が実現するかどうかも含めて、注目してみたい。

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