中小企業が人手不足にあえぐ一方、若者は希望する職にありつけず失業者となる。そんな奇妙な現象が、今の韓国で起きている。
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1月20日、統計庁によると、韓国では2020年下半期に記録した民間事業体の定員割れが11万4000人で、2011年以来10年ぶりに最高値に達した。企業側は計80万4000人の人員を必要としていたが、結局は69万人の採用にとどまった形だ。定員割れの人数は前年比で約5万人も増加した。
ただ、かといって人材がいないわけではない。むしろ有り余っているほどだ。
教育部が発表した「高等教育機関卒業者就職統計調査」によると、2020年の大卒就職対象者48万149人のうち、就職に成功したのは31万2430人。4年制大学、短大、大学院の卒業者すべて合わせた就職率は65.1%と、2011年の統計開始以降で最も低い数値をたたき出ている。
こうしたミスマッチの原因には、若者の“高望み”と中小企業に対する“就職忌避”が挙げられる。韓国では多くの若者が大企業や公共機関、公務員への就職を望んでおり、中小企業に対して「給与、福利厚生、社会的評判のすべてで劣る」という見方も多い。肉体労働や製造業を“食わず嫌い”する現象も同じ理由からくるものだ。
実際、雇用労働部の資料によると、定員割れの理由で最も多かったのは「賃金の水準など、勤労条件が求職者の期待と会わなかったから」で23.3%。次いで「要求する経歴を持った志願者がいなかったから」(21.3%)、「学歴・資格を備えた志願者がいなかったから」(15.0%)、「求職者に忌避される職種だから」(12.3%)だった。
もっとも、若者が中小企業を避けるのには無理はないという指摘もある。『中央日報』は、「最低賃金は大幅に上がっているが、中小企業の給与はあまり多くない。そのため、地方で中小企業に勤めるよりも首都圏でアルバイトをする方が好まれている。非首都圏は交通やインフラが良くなく、出退勤そのものから問題がある」という建国(コングク)大学経営学科のユン・ドンヨル教授の言葉を伝えている。
何より、根幹にあるのは大企業と中小企業の格差だろう。昨年に統計庁が発表した賃金労働者所得統計による労働者の月収平均は、大企業が515万ウォン(日本円=約51万5000円)、中小企業が245万ウォン(約24万5000円)と2倍以上も開いている。
中小企業への支援をより積極的に行い、大企業との格差を少しでも縮めないことには状況は変わらないだろう。そうしなければ、若者と中小企業との溝はいつまでも広がるばかりだ。
(文=サーチコリアニュース編集部)
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