最近、韓国最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が「分配」よりも「成長」というキーワードを前面に押し出す方針を見せているなか、同党指導部が早期大統領選挙を控え、主要戦略の1つとして「定年延長」を推進していることが確認された。
これは、内需の低迷が深刻化する状況において経済活動人口を拡大し、超高齢社会で年金受給開始年齢と法定退職年齢の差を縮め、収入が途絶えることによる高齢者の貧困問題などに対応する狙いがある。
それに加え、指導部の一部からは、約30兆~50兆ウォン(約3兆1600億円~5兆2650億円)規模の景気刺激策(追加補正予算編成)が成長の起爆剤として必要だという声も上がっている。
2月5日、本サイト提携メディア『時事ジャーナル』の取材を総合すると、「共に民主党」指導部と政策委員会は、少子化などにより生産可能人口が減少している状況を打開するため、「定年延長」を主要議題として有力に検討していることが確認された。
「共に民主党」政策委員会の主要関係者は『時事ジャーナル』に対し、「平均寿命が延び、過去と異なり体力も向上したことで『もっと働ける』『早期定年は望ましくない』という声がますます大きくなっている」と述べ、「現在、党としても定年延長戦略を検討中だ」と明らかにした。
これは、李代表が最近強調している「成長優先」戦略の一環として解釈される。
人口減少に加え、最近の内需低迷と消費の縮小が重なっている状況で、定年延長によって経済活動人口を拡大し、“所得があることで消費可能”な人口を増やして内需消費の基盤を広げるべきだという狙いがあると考えられる。
最近、李代表は「分配と公正」に重点を置いていた従来の政策路線から離れ、「成長」に集中する方針転換を示している。
「共に民主党」内では、李代表のこうした「右寄り」の動きをめぐり、「成長と『分配と公正』は相互補完的な関係であり、景気低迷が深刻な現時点では成長を回復することが最優先の時代的課題だ」と説明している。
これに関連し、「共に民主党」の戦略に詳しい主要関係者は『時事ジャーナル』に対し、「(共に民主党の核心政策である)基本社会などの福祉政策は、経済の混乱で内需が完全に揺らいでいる現在の状況では実行する余裕がない」と述べ、「経済成長率が最低でも2%は達成されなければ、経済が復活できる環境が整わないため、今は経済成長を最優先すべき時期だ」と指摘した。
さらに、「景気刺激のためには約30兆~50兆ウォン規模の補正予算が必要だ」とし、「単なる消費市場の活性化だけでなく、建設や半導体産業が復活してこそ、経済の好循環が実現できる」と強調した。
こうした流れのなか、「共に民主党」の執権プラン本部(本部長:キム・ミンソク最高委員)は、現在1%台の経済成長率を5年以内に3%台、10年以内に4%台へと引き上げることを目標に掲げている。同本部は、2月6日に国会で開催される新年セミナーで、この方針を公表する予定だという。
なお、「共に民主党」がこうした発表を続ける背景には、早期大統領選挙を見据えた「経済の主導権」確保を狙った水面下の戦略があると解釈されている。
(提供記事=時事ジャーナル)
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