早期大統領選挙の可能性が取り沙汰されるなか、野党の有力な大統領選候補である「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が、「チャルサニズム」(すべての人が共に豊かに生きる社会)という新たなビジョンを提示した。
このビジョンは事実上、李代表の大統領選に向けた青写真と解釈されており、「週4日制」「定年延長」「普遍的基本社会」「国民召還制」が主要なキーワードとして挙げられる。
李代表は2月10日、国会で行われた交渉団体代表演説で「生計問題を解決する『モクサニズム』を含め、すべての人が共に豊かに生きる『チャルサニズム』を新たなビジョンとする」と表明した。
そして「成長の機会と成果を分かち合うことが、より良い社会への扉を開く『公正成長』につながる」と強調した。
「チャルサニズム」の主要なキーワードは、大きく4つに整理される。李代表は、①週4.5日制を経て「週4日勤務国家」の確立、②定年延長、③国民の基本的な生活を共同体が支える「基本社会」の実現(基本社会のための回復と成長委員会の設置)、④「民主的共和国」「社会的大妥協」のための国会議員国民召還制の導入を掲げた。
まず、労働時間の短縮について李代表は「AIを象徴とする先端技術時代には、従来の労働概念と福祉システムが根本から変わる」とし、「AIと先端技術による生産性の向上は、労働時間の短縮につながるべきだ」と述べた。
続けて「韓国はOECD加盟国の中で労働時間が長い国の5位に位置し、OECDの平均(1752時間)よりも1カ月以上(149時間)多く働いている」とし、「創造性と自主性が求められる先端技術社会に進むためには、労働時間を短縮し、『週4.5日制』を経て『週4日勤務国家』へと進むべきだ」と主張した。
最近の半導体技術開発人材に対する「週52時間労働制の例外適用」に関しても、「特定分野で労働時間を柔軟化することはやむを得ない場合もあるが、それが労働時間の全体的な延長や労働報酬回避の手段になってはならない」と指摘。「『先端技術分野で長時間労働と搾取を通じて国際競争力を確保する』という考え自体が矛盾している」と話した。
定年延長についても言及し、「AI時代に向けた労働時間短縮、少子高齢化、生産可能人口の減少に対応するために、『定年延長』を本格的に議論すべきだ」と提案した。
年金改革について、与党「国民の力」に対し、「もはや実現不可能な条件を付けるのはやめ、まず緊急性の高い母数改革(保険料や給付水準の調整)を進めるべきだ」と促した。そして「保険料率13%には異論がなく、国民の力が提示した所得代替率44%は共に民主党の最終案である45%と1%の差にすぎないのだから、すぐに合意できる部分から改革を進めよう」と呼びかけた。
基本社会の実現についても触れ、自らが提案した「基本社会」構想に対する確固たる意志を示した。
李代表は最近、基本社会委員長の職を辞任する意向を表明したが、早期大統領選挙が確定するまでは職を維持すると方針を変えた経緯がある。
李代表は演説で、「私たちは今、超科学技術文明がもたらす社会的危機に対し、普遍的基本社会という形で備えなければならない」と語った。「住居、金融、教育、医療、公共サービスなど、生活のあらゆる分野において、国民の基本的な生活を共同体が共に支えることで、将来の不安を減らし、持続可能な成長の道を切り開くべきだ」と主張した。
さらに「成長の機会と成果を共に分かち合う『公正成長』こそが、より良い社会への扉を開く鍵となる」とし、「党の総力を結集して『回復と成長』を主導し、『基本社会のための回復と成長委員会』を設置する」と表明した。
李代表は、政治の二極化が深刻化している現状について、「憲政破壊勢力」と対峙して戦う姿勢を示した。
彼は「裁判所、憲法裁判所、選挙管理委員会に至るまで、憲法機関に対する根拠のない不信と暴力が横行している」と述べ、「憲法の原則を否定する『反憲法・憲政破壊勢力』が現実の最前線に現れた」と指摘した。
続けて「共に民主党は民主共和制の価値を尊重するすべての人々と共に『憲政守護連帯』を構成し、『憲政破壊勢力』と共に戦う」と表明。そして、「『民主的共和国』の扉を大きく開く」とし、「その第一歩として、国会議員国民召還制(国会議員を含む選挙で選ばれた公職者を有権者が投票で召還し、罷免できる制度)を導入する」と述べた。
これは最近、政治界で「円卓会議」の構成など野党連携の動きが見られるなかで発表され、注目を集めている。
また、最低30兆ウォン(約3兆1289億円)規模の追加補正予算(補正予算案)を編成する必要があると改めて強調。李代表は「回復と成長のために最も緊急な課題は、民生経済を立て直す応急処置である補正予算だ」とし、「戒厳令の衝撃で実質GDPが6兆ウォン以上失われ、1カ月で外国人投資資金が5兆7000億ウォン流出した。政府は財政拡大による景気回復のゴールデンタイムを逃してはならない」と主張した。
補正予算の具体的な項目については、「補正予算編成に必要であれば、特定の項目に固執するつもりはない」としながらも、「共生消費クーポン、小規模事業者の損害補償、地域通貨支援が必要であり、感染症対応や重症外傷専門医の育成など国民の安全予算も確保しなければならない。公営住宅や地方の社会資本(SOC)、高校無償教育の国費支援、さらにはAIや半導体などの未来産業への追加投資も不可欠だ」と強調した。
(記事提供=時事ジャーナル)
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