カタールW杯で未だ勝利のない韓国。グループHでは2試合を終えて1分1敗の3位に沈み、敗退に終わる可能性が濃厚となっている。
決勝トーナメントに進めるかどうかは、12月3日(日本時間)に行われるポルトガルとの最終節で勝利したうえで他会場(ガーナvsウルグアイ)の結果次第と、自力突破が不可能な状況にある。
そんな運命の一戦の相手であるポルトガルのエースストライカーと言えばクリスティアーノ・ロナウドだろう。今回のカタール大会が自身5度目の出場であり、グループ初戦のガーナ戦ではPKによる得点でW杯史上初の5大会連続ゴールも達成。日本では「クリロナ」や「CR7」の愛称で親しまれている。
ただ、お隣・韓国ではロナウドについてあまり良いイメージが持たれていない。その発端となったのが、国内で「ロナウド“ノーショー”」「ノーショー論争」と今も語り継がれる2019年7月の欠場騒動だ。
当時、ロナウドは所属していたユベントスのアジアツアーの一環として韓国を訪問した。ところが、試合当日午前に中国から韓国に飛行機で移動するという強行日程がたたり、気象悪化で入国が遅延すると、ソウル市内の交通渋滞であらゆるスケジュールが延期に。そして、ユベントス訪韓最大の目玉であるKリーグ選抜との親善試合にロナウドが出場しなかったことで、韓国サッカーファンの怒りが爆発したのだ。
そもそも、ユベントスと主催側の間では「ロナウドが親善試合で最低45分出場する」という契約が事前に結ばれていた。にもかかわらず、ロナウドが先発に入らなかったのはおろか、ハーフタイムにはアップもせずベンチに座ったまま90分間を過ごしたことが、ファンの怒りに油を注ぐ形になった。
当時ユベントスを率いたマウリツィオ・サッリ監督は試合後、「ロナウドの欠場は前日の夜に決まっていた」と事情を説明したが、韓国の世論が納得するはずもなかった。
実際、欠場騒動直後に世論調査会社リアルメーターが全国19歳以上の男女501人を対象に行ったアンケート調査では、実に79.4%が「今後ロナウドを応援しない」と回答し、すべての地域、年齢、性別、職業で「応援しない」が過半数。欠場騒動の責任は誰に問われるべきかという質問でも、「欠場したロナウド本人」が2番目に多い22.7%を記録していた。
こうして、騒動以前は「ウリヒョン(俺らの兄貴)」や「チュックシンド(“サッカーの神”を意味するチュックシン+ロナウド)」などの愛称で親しまれたロナウドも、一夜にして“韓国で嫌われるスポーツスター”となった。騒動を機に、「ナルガンド(強盗+ロナウド)」や「ノーショード(ノーショー+ロナウド)」など皮肉をこもったニックネームも多く生まれている。
そして今回、W杯でポルトガルと韓国が同組に入ったことで、韓国国内では欠場騒動が再燃するように。韓国代表メンバーのキム・テファンも、カタールでの記者会見でロナウドについて問われた際、「もし試合に出れば“あの考え(欠場騒動)”が浮かぶはずだ。その考えを持って、(ロナウドと)より強く戦うだろう」と話している。
もっとも、ポルトガルは2戦全勝ですでにグループ突破を確定しているため、韓国戦はロナウドを筆頭に主力を温存させる可能性もある。はたして因縁深きロナウドがピッチで韓国の選手と相対することはあるのか、違った意味で注目の試合となりそうだ。
(文=サーチコリアニュース編集部H)
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