「国民が幸せな国」と聞かれたときに、真っ先に思い浮かべる国はどこだろうか。
その参考になりそうな数字を米ギャラップ社が発表している。国民の幸福度を表す「肯定経験指数(positive experience index)」だ。
2014年の調査対象国は143カ国の中で、1位はパラグアイ(89点)。2位にはコロンビアやエクアドルなどが84点で並んだ。
日本は83位(66点)と、世界平均71点よりも若干下にランクイン。アジア勢からは、フィリピンとシンガポールが11位(80点)で最上位、ブータン(79点)、インドネシア(78点)などがトップ30にランクインしている。
ちなみに、トップ10入りを果たしたのは、すべてラテンアメリカの国家だったそうだ。
国連が定めた3月20日の「国際幸福デー」を迎えて発表された「肯定経験指数」に対して、ショックを受けている国がある。お隣・韓国だ。
結果は143カ国中、118位(59点)。先進国といわれている国家の中でも特に低い、3ケタ台の順位という結果になった。
何よりも悲しいのは、毎年発表される「肯定経験指数」において、年々点数を下げていること。2012年64点、2013年63点、そして2014年が59点だ。世界の平均が71点であることを踏まえると、50点台はかなり深刻な数字といえるかもしれない。
そもそも米ギャラップ社の「肯定経験指数」は、国民1000人が以下の5つの質問にYESと答えられるかどうかで決められるという。
(1)昨日ゆっくり休めたか
(2)昨日誰かから尊敬を受けたか
(3)昨日たくさん笑ったか
(4)昨日面白いことを行ったり、学んだりしたか
(5)昨日楽しいことをたくさんしたか
つまりは“主観”なのだが、主観だからこそ、GDPをはじめとする経済的な数値からは測定できない“人々の幸福度”に迫ることができると、米ギャラップ社は考えているようだ。
それを証明するかのように、「肯定経験指数」は「自殺率」(WHO調べ、調査対象173カ国)と相関関係にあるといえるかもしれない。
例えば「肯定経験指数」1位のパラグアイは、自殺率が110位と低い。「肯定経験指数」2位のコロンビアも自殺率は120位だ。そして韓国の自殺率はというと、上から3番目。「肯定経験指数」には一定の信ぴょう性があるといってもいいだろう。
実際に、「肯定経験指数」が年々低下している韓国の自殺率は、近年急増してしまっている。
10万人あたりの自殺者数は、1993年当時は9.4人にすぎなかったものの、20年間で28.1人に膨れ上がった(韓国統計庁調べ)。
老人の自殺問題も深刻で、2000年と比べて現在は約3倍に増加したとの数字も。さらに付け加えると、ここ10数年で、若年層の自殺率が46.9%も増加しているというのだから驚きだ。経済的な困窮、成績や進学など学業に関する問題が主な原因とされており、格差や競争の激しさが構造的な問題となってしまっている。
高い自殺率に加えて、自国を「国民が幸せな国」と評価しない韓国。根本原因はどこにあるのだろうか。
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