韓国で公共施設の電気を盗む「盗電」が議論に…電気自動車の普及を急ぐも厳しい現実

2022年02月13日 社会
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新型コロナウイルスの感染拡大による自粛要請にともない、じわじわとブームとなったキャンプだが、目を疑うようなマナー違反も続出している。

騒音やゴミのポイ捨てなどのモラルを疑う行為に始まり、はてには電気を盗む「盗電」行為まで行う人もいる。こちらは、モラル以前にれっきとした犯罪だ。こうした「盗電」による被害は、お隣・韓国でも大きな問題となっている。

去る2月6日にも、とある画像がオンラインコミュニティに投稿され、物議をかもしている。問題となった画像は「あるキャンピングカーが公衆トイレに設置されたコンセントで盗電している」というものだ。

投稿者は、深夜の公衆トイレでキャンピングカーに乗ったドライバーが不正充電している姿を撮影し、「電気を使いたければ家にいろ。なぜ外に出て、複数人に迷惑を与えるのか理解できない。こういう人はキャンプに行ってはならない」とバッサリ。

これには、韓国ネット民も「泥棒だという自覚がない」「恥ずかしいということを知らないで生きているんだろう」と、投稿者に賛同する意見が多かった。

オンラインコミュニティに投稿された盗電写真

公共電気を無断使用する事例は、まだまだある。

あるときは、電気自動車が地下駐車場内の通信会社端末に差し込まれたマルチタップで充電をする姿がオンライン上に公開された。またある日には、広州のアパート団地内で共用電気を利用し、車両を無断で充電した20台が立件されたりもした。

韓国において無許可で公共施設で電気を使用した場合、盗難の疑いで処罰されることがある。刑法第392条によれば、他人の財物を切り取った者は、6年以下の懲役または1000万ウォン(約100万円)以下の罰金刑に処する。

こうした盗難が発生する要因として、電気自動車充電所のインフラが不足しているという指摘もある。実際、韓国国土交通部と環境部などによると、昨年末基準で国内電気自動車の累積登録台数は23万1443台を記録した。これは、前年より71.5%増加した数値だ。電気自動車の新規登録台数は2018年の3万1000台、2019年の3万5000台、2020年の4万7000台を記録し、2021年に10万台の大台を超えた。

一方で、昨年12月末基準の全国公共電気自動車充電器は10万6701基だ。1時間あたり7㎾級の充電が可能な緩速充電器は9万1634基、50㎾・100㎾級急速充電器は1万5067基となった。特に電気自動車の利便性と直結した急速充電器は、緩速充電器(85.8%)に対して14.1%の割合に過ぎない。 環境にやさしい車両の需要が増え、電気自動車の充電所もあちこちに生まれているが、まだまだ満足できる状況ではない。

実際、世界の主要国と比較すると、韓国の充電インフラの劣悪さが如実に現れる。韓国自動車研究院によると、昨年8月基準で電気自動車100台当たりの充電器数は英国318.5基、ドイツ230.4基、アメリカ185.3基、日本153.1基に対し、韓国は50.1基に過ぎない。その結果、電気自動車の所有者の間で充電競争が行われ、その流れが盗電増加にも影響していると推測されるのだ。

韓国政府は今後、新しいアパートを建てるとき、全体の駐車台数の5%以上規模で電気自動車充電器の設置を義務化することにした。しかし、主要国は、充電器の数を規定するよりも、今後充電器を設置するための基礎設備構築を義務化する傾向であり、「こうした対策が意味があるのか」という声もある。

電気は生活から切り離せないだけに、街中のいたるところにコンセントは存在する。しかし、それを無断使用することは窃盗であることを理解しなければならないだろう。

(文=サーチコリアニュース編集部)

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