李在明大統領就任30日、韓国専門家が辛口ジャッジ「期待以上の出だし」「高支持率が無駄になる」

2025年07月03日 政治 #時事ジャーナル
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李在明(イ・ジェミョン)大統領が就任して30日。専門家は「まだ評価するには早い」と口をそろえつつも、「出だしは予想以上によい」とおおむね一致した見解を示している。特に、与野党の協治(協力統治)を強調したリーダーシップや、全国を回りながら補正予算の必要性を訴える現場重視の行動が高く評価された。

【注目】李在明政権に“人事スキャンダル”の警報

パク・サンビョン政治評論家は「統合を示そうとする政権初期のイメージが非常に肯定的だ」と評価し、イ・ジュナン仁川(インチョン)大学政治外交学科教授も「引き継ぎ委員会なしでも無難なスタートだった」と診断した。

一方で、キム・ミンソク国務総理候補者などを巡る「人事リスク」は落第に近い評価を受けた。チェ・チャンリョル龍仁(ヨンイン)大学特任教授は「コード人事と検証の失敗が問題だ」と批判し、チェ・ヨハン政治評論家は「このままでは現在の高支持率は無駄になる」として、肌で感じられる民生(生活)成果の必要性を強調した。

協治と民生政策は「準備された出発」成績は合格点

就任初期の李在明大統領の行動は「予想より落ち着いて柔軟だ」との診断が主だった。パク・サンビョン評論家は「時期尚早ではあるが、“始まりが半分”という言葉もある。これまでの“半分”はかなり良いスタートだった」とし、「李在明政権の30日は90点」と評価した。

同氏は「強い左派的傾向が表れるという懸念は杞憂だった」とし、「組み分けのない統合のメッセージを継続して強調し、尹前大統領とは異なる“協治型”のイメージ構築に成功した」と分析した。

イ・ジュナン教授も「引き継ぎ委員会なしのスタートだったが、優先順位と緩急の調整が明確だ」とし、「ただスピードを出すだけの政府ではなく、準備された政府という印象を受けた」と述べた。「無難にうまくやっている」という同氏の評価は85~90点に繋がった。

イ・ジョンフン政治評論家は、李在明大統領のコミュニケーション重視の行動に高得点を与えた。「就任当日に与野党指導部と食事し、20日後に再び会合した。前政権では見られなかった場面だ」とし、「統合と対話、安定の意志を示す象徴的な場面だった」と評価した。

民生経済への対応も肯定的だ。パク・サンビョン評論家は「補正予算を前面に出して全国を回り、タウンホールミーティングを継続し、同時に3大特別検察も迅速に始動させた」として、「政治的正常化と民生経済を同時に考慮する意志が見える」と述べた。

チェ・ヨハン評論家も「就任後にキンパひと巻きだけを食べて働いたというのは誇張ではないほど、本当に早くエンジンをかけた」とし、「検察人事、政策の方向性、全国巡回まで休まず走ってきた」と評価した。さらに「大統領は“権力”ではなく“権限”を行使すると語ったが、その言葉が本気に見えるスタートだった」と付け加えた。

李在明大統領
(写真=大統領室通信写真記者団)李在明大統領

人事は「赤点」…コード人事と資質不足に集中砲火

しかし、人事についての評価はおおむね厳しかった。キム・ミンソク首相候補を含め、複数の長官候補に対する懸念が専門家の間で共通して提示された。

パク・サンビョン評論家は、ソン・ミリョン農林畜産食品部長官候補の留任を「コメディ」と表現。「過去に糧穀法を“農業を台無しにする法”と批判した張本人を、再び農政の責任者にするのは理解しがたい。有能で起用するならともかく、道徳性も資質も疑問だ」と批判した。

チェ・チャンリョル教授はキム・ミンソク首相候補について「行政経験もなく、国民統合型の人物でもない」とし、「政治資金法の有罪歴まで含めれば、普通の政党なら公認もされないレベル」と指摘した。また「人事の検証ラインが“大統領コード”合わせたため、適切なフィルターの役割を果たせなかった」として、人事検証システム全体の問題を提起した。

イ・ジンスク教育部長官候補に対してはチェ・ヨハン評論家が問題提起した。「大統領は城南市で市民運動をしていた頃から学歴差別に反対してきた。それなのに“ソウル大学を10校作る”という教育哲学を掲げる人物が教育部の長官になるのは、大統領の哲学と正面から食い違う」と指摘した。

イ・ジュナン教授はチョン・ドンヨン統一部長官のような過去に登用された人材に言及し、「使い回しのような人事が少なくない」と指摘。「新鮮で有能な専門家を起用するというメッセージと矛盾する人事も目立つ」と語った。

統合のメッセージ、現実で続けられるか「これからが本当の試験台」

政権発足直後に打ち出した統合のメッセージが現実政治の中で持続可能なのか、懐疑的な見方も存在した。

イ・ジョンフン評論家は「今からが本当の試験台だ」とし、「野党との関係をどう築くかによって、この政権の統合の試みも成功するかどうかが分かれる」と展望。「政治は結局、相手がいるゲームだ。統合が一過性で終わってはならない」とも述べた。

経済分野では温度差が表れた。チェ・ヨハン評論家は「消費クーポンにしろ不動産政策にしろ、国民が実感できなければ意味がない。すでに100万人の自営業者が廃業したと言われている。肌感覚で伝わる民生政策が切実だ」と強調した。

一方、イ・ジュナン教授は「経済は時間がかかる分野」として、「今は消費の促進、生活再建といった方向性を定めたことだけでも意味がある」と評価した。

(記事提供=時事ジャーナル)

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