韓国発のオリジナル・キャラに忍び寄る「ハイエナ」たち

2021年11月04日 経済
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韓国で絶大な人気を誇っているカカオ・フレンズ。韓国の国民的コミュニケーションアプリ“カカオ・トーク”のオリジナル・キャラクターである8匹のキャラは、今や誰もがその存在を知るほどだ。

韓国コンテンツ振興院が発表した「2016年キャラクター好感度調査」で1位になったことも、その事実を物語っていると言えるだろう。

ただ、カカオ・フレンズが、日本の「ハローキティ」や「マリオ」のように世界で愛されるキャラクターになれるかはまだわからない。

(写真=著者撮影)

そのためには肝心要の“カカオ・トーク”が世界でどれだけ普及していくかが、カカオ・トークの世界普及率はそれほど高くない。

韓国では圧倒的な普及率を誇るが、世界市場ではWhat`sApp、WeChat、Viber、LINEといったライバルたちの後塵を拝している。それどころか最近は韓国でも“カカオ離れ”が度々指摘されるほどだ。

百歩譲ってカカオ・トークが引き続き韓国で圧倒的存在を示したとしても、その韓国のとあある文化がカカオ・フレンズたちの足を引っ張る可能性もある。

というのも、実は過去にも旋風を巻き起こした韓国発キャラクターはいくつか存在した。

例えば2000年に誕生した「マシマロ(MashiMaro)」や「プカ(PPUCA)」などが代表的だ。が、これらのキャラクターはいつのまにか姿を消してしまっている。

それは熱しやすく冷めやすい韓国人の“鍋根性”によるところもあるのだろうが、一過性のブームだけが「マシマロ(MashiMaro)」や「プカ(PPUCA)」が消えてしまったワケではないと言われている。

一説には人気爆発後に起きた各キャラクターの無断使用、すなわちコピー商品が横行したことも人気が暴落した要因のひとつだとされている。

例えばマシマロの場合、露店やB級ストアに出回ったコピー商品によって200億ウォン(約20億円)ほどの被害を受けたという。

人気があればコピー商品が出回ることは韓国で一般的なことで、世界的に有名な高級時計メーカーや人気ブランドの限定品ですらも、いわゆる“バッタもん”が横行しているのだから、キャラクター商品とてその被害から逃れることは難しい。

しかも、悩ましいことコピー商品の市場規模がオリジナル商品をより大きく上回ってしまうのが韓国である。

そうなってくると、当然、オリジナルの価値も落ちる。せっかくオリジナルを開発して手を込んだマーケティングをして人気を得ても、コピー商品が出回るようになると魅力半減。人々の関心も薄れてしまう。つまり、オリジナル側とコピー側はやがて共倒れになるということだ。

日本に比べてまだまだ著作権に対するモラルが低い韓国では、こうした“魔のスパイラル”が今まで何度となく繰り返されてきた。キャラクタービジネスがうまくいかなかったのも、当然かもしれない。

カカオ・フレンズがその二の舞にならないためには、徹底的な著作権保護システムや、著作権に対するモラルの向上が必要だろう。

韓国ではあの『ポケモンGO』も著作権違反問題に悩まされただけに、カカオ・フレンズが今までの悪習を一掃できるかどうか、注目したいところだ。

【関連】『ポケモンGO』人気に便乗する韓国の“著作権無視”が深刻レベル

ちなみに、韓国のキャラクター市場は2015年に史上初となる売上10兆ウォン(約1兆円)突破を記録している。

カカオ・フレンズだけだと、2016年に705億ウォン(約70億円)の売上、237億ウォン(約23億円)の営業利益を上げた。キャラクタービジネスとしてこれほど成功したのは、カカオ・フレンズが唯一かもしれない。

いずれにしても韓国では国民的ブームになっているカカオ・フレンズ。今後は、日本で圧倒的な人気を誇るLINEフレンズとのキャラクター戦争が韓国でも勃発しそうな勢いなだけに、それはそれで面白くなりそうなのだが……。

文=慎 武宏

*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。
 

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