韓国大統領選挙まで残り9日と迫るなか、各陣営による相手候補への告発合戦が激しさを増している。
「共に民主党」と「国民の力」は、相手陣営の候補者の一挙手一投足を問題視し、「公職選挙法違反」や「虚偽事実の公表」などを理由に、相次いで告発に踏み切っている。
李在明(イ・ジェミョン)、キム・ムンス両候補ともに被告発人の立場となっており、大統領選後にも少なからぬ後遺症が残る見通しだ。
「共に民主党」の中央選挙対策委員会に属する公正選挙法律支援団およびフェイクニュース対応団は5月25日、「国民の力」キム・ムンス候補が選挙運動中に有権者から違法に物品を受け取ったとして、公職選挙法違反の疑いでキム・ムンス候補を警察に告発すると発表した。
「共に民主党」によれば、キム・ムンス候補は24日、慶尚北道・尚州(サンジュ)での遊説中に有権者からリンゴ一籠と干し柿一箱を、また金泉(キムチョン)駅での遊説では金泉の特産品一箱を受け取ったと主張している。
「共に民主党」はこれについて、「政治資金法に定められていない方法で個人から提供された物品、すなわち一種の政治資金を受け取ったことになる」とし、「キム・ムンス候補は政治資金法第45条第1項に違反し、不正に政治資金を授受した」と批判した。
さらに「共に民主党」は、李在明候補が京畿道知事時代に京畿道・始興(シフン)市に造成した人工サーフィン場「ウェーブパーク」について批判した「国民の力」のチュ・ジンウ議員とナ・ギョンウォン議員を、虚偽事実の公表の疑いで告発する方針も明らかにした。
李在明候補は前日の遊説で、京畿道知事時代に始興市長や企業に対して「『コブク島に来れば我々が前面に立ってやってやる』と誘致し、許認可から建設、竣工までを2年で終わらせた」とし、「李在明の京畿道がそれほど迅速に大企業を誘致したのだ」と語った。
これに対し、「国民の力」の選対ネガティブ対策本部共同本部長を務めるチュ・ジンウ議員はフェイスブックで、「李在明式行政の超大型失敗作だ。分譲を受けた庶民は血の涙を流している」と書いた。
また、ナ・ギョンウォン共同選対委員長は記者団に対し、「利益を得たのは土地分譲者だけで、母娘が“極端な選択”をする事件が起きたほど被害者が多い。知っていて誇ったなら厚顔無恥、知らずに誇ったなら無能と無責任の証だ」と述べた。これに対し「共に民主党」は、これらの発言は虚偽の事実を流布しているとの立場だ。
「共に民主党」はさらに「コブク島プロジェクトが国家マリーナ港として指定されたのは2015年であり、当時はセヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)大統領とナム・ギョンピル知事が京畿道を統括していた時期だ」とし、「2018年に当選した李在明知事がコブク島を造成してマリーナ港に指定したという政治的主張はまったく根拠のないものだ」として告発を予告した。
加えて「共に民主党」は、「国民の力」の一部の選挙運動員が未成年者に選挙運動をさせたとして、公職選挙法違反で告発する方針も明らかにした。「共に民主党」は「選挙運動ができない未成年者に対して、キム・ムンス候補の当選を目的とした選挙活動をさせた行為は、公職選挙法第255条が定める不正選挙運動罪に該当する」と主張している。
一方で「国民の力」も反撃に出た。
ネガティブ対応団はこの日、李在明候補による「HMM釜山(プサン)移転」に関する発言について、虚偽事実の公表の疑いで李在明候補を警察に告発したと発表した。
「国民の力」によれば、李在明候補は5月14日の釜山での遊説で「HMMの釜山移転」を公約し、「会社を移転するにあたって最大の障害が社員だが、社員が同意したと聞いた」と述べたが、これが虚偽だという。
「国民の力」は「1800人の社員はHMMの移転に同意しておらず、HMMの株主である産業銀行や韓国海洋振興公社もまったく検討した事実はないと述べている」と反論。また、「李在明候補は『イルサン大橋の無料化が政府の反対で頓挫した』と発言しているが、(有料化は)水原(スウォン)高裁の決定によるものであり、政府が強制したものではない」と主張した。
また、李在明候補の「イルサン大橋の通行料」や「コーヒー原価120ウォン(約12円)」に関する発言も問題視している。
李在明候補は5月20日、高陽(コヤン)市での遊説で「(京畿知事時代に)無料化したのに私が辞めたらすぐに元に戻った。今度は大統領になって無料化すれば誰も反対できない」と述べた。また16日の遊説では「コーヒー1杯売れば8000~1万ウォン(約800~1000円)で売れるが、原価は自分が調べたところ120ウォンだった」と語った。
これについて「国民の力」は、「李在明候補が『イルサン大橋無料化は政府の反対で失敗した』と語ったが、実際は水原高裁の判断によるものであり、政府が強制的に有料化したわけではない」と主張。また「(李在明候補は)自営業者が過度な利益を上げているという意味ではなかったと弁明し、コーヒー豆の原価の話だったと説明しているが、李在明候補は当選を狙って日常的に嘘をついており、国民を欺く行為を見過ごすわけにはいかない」と非難した。
(記事提供=時事ジャーナル)
■李在明、韓国大統領になったら何をやる?“法案”から浮かび上がる国家ビジョン
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