北京五輪を間近に控え、最も注目を集めている競技のひとつがフィギュアスケートだろう。
それは、お隣・韓国でも同様だ。
ただ、日本ではフィギュアはお金のかかる競技というイメージが強いが、韓国のフィギュア選手たちも経済的負担は大きい。
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以前、韓国メディア『日曜新聞』が“韓国フィギュアの未来”呼ばれるユ・ヨンを取り上げた記事で、彼女の母親がこう語っているのだ。
「ひと月にかかるお金は平均して500万ウォン(約50万円)程度。最低でもこのぐらいはかかります」
少なくとも年間で6000万ウォン(約600万円)程度の負担があるということだが、海外で練習を行うときには、ここに加えて1000万ウォン(約100万円)以上の支出があるのだという。
トップ選手ともなれば海外遠征や大会も増えるため、さらに負担が増えると推測できるだろう。
日本のフィギュア選手の負担額は年間500万円程度と言われているので日本と韓国でかかる費用に大差はないようだが、いずれにせよ経済的な負担が大きいことは事実だ。
実際、キム・ヨナもバンクーバー五輪で金メダルを獲得した2010年に、韓国のテレビ番組でこう語っている。
「リンクのレンタル料もコーチに支払うレッスン料もすべて自己負担です」
「中学生の頃には家の経済状況が苦しいことを感じ、スケートを続けるべきかやめるべきか悩みました。もうやめようという話も何度もしました」
もちろん、選手たちに公的な支援がないわけではない。
日本でもオリンピック協会やスケート連盟の強化選手に指定されれば支援を受けられるように、韓国にも「グローバル人材支援金」などがある。
ただ、日本と同様に、こうした支援だけでフィギュア選手として活動していくのは難しいのが実情だ。
もっとも収入の面では、日本よりも韓国のほうが条件が良いといえるかもしれない。
国際スケート連盟(ISU)主催の大会では上位入賞者に賞金が贈られているが、全日本選手権大会など国内大会の賞金はなんとゼロ。
一方、韓国では国内大会でも賞金が設定されることもある。
例えば2018年1月の第71回全国男女フィギュアスケート総合選手権大会では、男子シングルで優勝したチャ・ジュンファンが500万ウォン(約50万円)を獲得していた。
とはいえ、大会の賞金だけではフィギュア選手として活動していくのは難しいため、日本同様、韓国でもスポンサー契約やテレビ出演などで収入を得るのが主流となっている。
実力で日本よりはるかに後れをとっている韓国のフィギュア選手たちにとっては、厳しい状況といえるだろう。
北京五輪では、そんな選手たちの苦労を知ったうえでフィギュア競技を観戦すると、また違った面白さがあるかもしれない。
(文=サーチコリアニュース編集部)
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