新型コロナウイルス感染拡大によるリモート授業の一環で、急速なICT(情報通信技術)化が進んでいる。9月16日には、タブレットを利用しての小学校教育に、教育評論家の尾木ママが「小学生がタブレットだけの授業は危険!!」とタイトルで警鐘を鳴らした。
そこでは昨年11月に起こった町田市の小6女児がタブレットを通して「うざい」「きもい」など悪口を書き込まれるいじめを受けて、悲しい結末を迎えた事件を例にタブレットを利用した教育に対して持論を展開している。
実際、タブレットやPCを利用した教育に頭を悩ませているのは韓国も同様だ。特に問題となっているのが、リモート授業を行う教師の肖像権の問題だ。
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韓国教師労働組合連盟は今年2月、教師8435人を対象にアンケート調査した結果、リモート授業中、自分の肖像権や人格権が侵害されたことがあるという回答が全体の7.7%(651人)に達した。
実際の被害事例は合計1104件で、学生による侵害事例が686件、親による侵害事例は418件であった。
簡単に事例をまとめると、リモート授業の教師の顔を滑稽に編集して流布したり、教師の写真と電話番号をネットに投稿したりなどだ。
ひどい物になると、教師の画像とアダルト画像をコラージュしたり、売春斡旋サイトに教師の個人情報などをアップするなど、非常に問題となっていて、教師労組は「教師の肖像権侵害が問題意識せずに広範囲に行われている」と指摘した。
9月25日、教師たちからのSOSを受けた韓国文部科学省教育部は、「教育活動の侵害行為と行動基準に関する告示」の一部改正案を行政予告。改正案は、リモート授業は教育活動の範囲内であり、教育活動中の教員の映像や画像、音声などを撮影・録画・録音・合成して無断で配布する行為は、教育活動侵害行為ということだ。
こうした条例に対して、韓国文部科学省は8月告示の一部改正案を行政予告し、「教員の映像、画像または音声などを無断で合成して配布する行為」を教育活動の侵害と規定。さらに、合成しなくても、単純な撮影や録画、録音して配布する行為まで処罰の範囲を拡大したものである。
教権侵害行為が発生した場合、学校では、教員と保護者などで構成され、教権保護委員会」を開き、教権侵害の故意性や持続性、悪質さによってスコアを付けて処分を下す予定だ。加害生徒は校内奉仕や社会奉仕、出席停止、学級交換で深刻な場合は、強制全学科退学処分まで下される。
コロナ禍によって急進していく教育のICT化だが、急速すぎる変化は歪みを生みやすい。コロナ後も見据えて、正しいスタンダードを構築することを目指すのは急務だろう。
文=サーチコリア編集部
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