非常戒厳令を発令した韓国大統領の「言葉」が国民の不安を煽った。
12月3日夜に発令された非常戒厳令は、国会の解除要求決議案が可決され、わずか「3時間天下」で終わった。しかし45年ぶりに現実となった「非常戒厳」という言葉が、夜中の国民に衝撃と恐怖を与えた。
不安を感じた人々が主要ポータルサイトに殺到し、トラフィック障害が発生。また、一部では生活必需品を備蓄する動きも見られた。
12月3日夜10時25分頃、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が非常戒厳令を発令した後、国民の間で混乱と不安が広がった。
非常戒厳令の効果や生活への影響を心配した人々は、生活必需品や非常食の購入に走った。夜遅い時間であったため、コンビニエンスストアやECプラットフォームを利用する人も多かった。
あるコンビニチェーンA社によると、住宅街近くの約4000店舗を中心に、前日売上が1週間前の同じ曜日と比べて増加した。特に売上が伸びた商品はミネラルウォーター(23.1%増)、袋麺(16.4%増)、缶詰(15.5%増)、レトルトご飯(14.8%増)、緊急用医薬品(12.1%増)、カップ麺(7.7%増)だ。
また非常戒厳令発令後、ミネラルウォーター、牛乳、米がECプラットフォームの人気検索キーワードにランクイン。ファッション中心の通販サイト「11STREET」でも、ラーメンの検索順位が急上昇する現象が見られた。
それでもECプラットフォームの深夜配送には、まったく影響が出なかった。夜間通行禁止などの措置が取られた場合、物流輸送に支障を来す可能性があったが、非常戒厳令が解除されたことで問題は回避された。
「クーパン」や「SSGドットコム」なども深夜配送を通常通り完了した。
韓国国民の不安はオンライン上に表れ、多くの人々がインターネットに集まった。
この日、ソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」では、「非常戒厳」に関連する投稿が80万件以上に達した。グーグルでも「戒厳令」がリアルタイム検索ランキング1位を記録した。
韓国の主要ポータルサイトであるネイバーやダウムでは、トラフィックの急増によりサービス障害が発生。特にネイバーカフェでは、非常戒厳令発令直後の午後11時頃にアクセスが集中し、接続障害が起きた。その後、サービスの安定化を図るため、ネイバーは午前0時30分から2時までカフェサービスを一時点検した。
ダウムやネイバーニュースでも、コメント機能など一部の機能に障害が発生したが、現在は正常に稼働している。
カカオトークでは、「ユン・ソンニョル」「戒厳」「非常」などのハッシュタグを冠したオープンチャットルームが多数開設され、非常戒厳に対する懸念や今後の対応が議論された。
また一部のユーザーは、コミュニティやチャットルームが制限される可能性を懸念し、「デジタル避難」に動き出した。
戒厳司令部は、前日に発令した布告で「言論・出版・集会・結社の自由が制限される可能性がある」とし、「政府や裁判所の権限に関する特別措置も下される」と発表した。そのため表現の自由が制限される事態に備えて、海外にサーバーを持つテレグラムへの加入者が急増したという。
また一部のユーザーは、IPアドレスを隠せるVPNをインストールしたという書き込みも見られた。VPN(Virtual Private Network)は、仮想プライベートネットワークの略だ。
(記事提供=時事ジャーナル)
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