179人が犠牲となった韓国旅客機事故と関連し、大惨事を起こした航空会社「チェジュ航空」の整備士を名乗る人物が劣悪な職場環境を告発して話題を集めている。
自らをチェジュ航空所属の航空整備士と紹介したA氏は最近、職場コミュニティ「ブラインド」に「私はチェジュ航空の整備士でした」というタイトルで文章を投稿した。
長らくチェジュ航空で整備士として勤務したというA氏は「航空業界、特にチェジュ航空の整備士の待遇は非常に劣悪であり、従業員が不当な状況でも声を上げられない構造が作られている」と伝えた。
続けて「新型コロナ以降、熟練した整備士が会社を去ったことで整備士不足の事態が続き、整備士の安全と待遇を改善してほしいという声が高まった」とし、「B737資格を持つ熟練整備士が非常に不足した状況だ。チェジュ航空は経験者の採用公募を出したが、市場に整備士がおらず、インターン整備士さえも過剰な業務に耐えられず退職した」と主張した。
さらに「整備費用削減を理由に、十分な設備が整っていない状況で、ランプで整備作業を行い、整備士たちは13~14時間にわたり食事も休憩も取れないまま過剰な業務をこなさなければならなかった」と述べ、「人員補充や待遇改善といったコストのかかる核心的な問題は黙殺され続けた。代表取締役や人事チーム、整備本部は整備士の要求を単なる不満として片付けた」と付け加えた。
A氏は「今回の事故は、航空産業や航空安全に対する理解と経験が不足している国土交通部の航空政策室が、適切な管理監督や規定を遵守しなかったことが原因だ」と強調しつつ、「務安(ムアン)空港の事故では、絶対にあってはならない土手が最大の原因だった」と述べた。
この主張が事実かどうかは定かではないが、チェジュ航空の整備に問題があったのではないかとの指摘は少なくない。
1月6日、国会・国土交通委員会所属のイ・ヨンヒ議員室が国土交通部から提出された「2020年~2024年上半期の航空会社遅延状況」資料によると、チェジュ航空は2024年上半期に運航した5万2883便のうち、整備を理由とする遅延が536便(国内線344便、国際線192便)も発生している。
これは、2024年上半期に運航した国内航空会社10社のなかで最も多い水準であり、運航便数がより多かった大韓航空(422便)よりも多い。また、競合する格安航空会社(LCC)であるティーウェイ航空(315便)、ジンエアー(243便)、エアプサン(227便)と比べても大きく上回っている。
チェジュ航空の昨年上半期における整備遅延率は1.01%で、全体平均(0.64%)を0.37ポイント上回った。2023年も整備を理由とする遅延が943件に達している。
そのためA氏の告発にも一定の説得力が加わっているが、オンライン上では「整備士不足の問題は早急に改善されるべきだ」「本当にA氏の言う通りの環境ならチェジュ航空に乗りたくない」「いくらしっかり整備しても、バードストライクやコンクリートの壁があったらどうしようもないのでは?」といった反応が寄せられた。
なお、12月29日、全羅南道の務安(ムアン)国際空港で181人を乗せたチェジュ航空の旅客機が着陸に失敗し、179人が犠牲になる大惨事が発生した。原因究明が進められているが、現時点では空港の構造物が被害拡大の一因とされている。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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