韓国のソウル江東(カンドン)区で発生した大規模なシンクホール(地盤の陥没)に巻き込まれた30代のバイク運転者の救助作業が難航している。
関係当局は約16時間にわたり捜索を続けているが、いまだ行方不明者は発見されていない。
地盤が干潟のような状態に変化していることや、さらなる亀裂や崩壊の可能性などにより、救助作業が思うように進んでいないのだ。
消防当局は3月25日午前7時から、救助隊員と重機を投入して捜索を再開。埋没から16時間近くが経過した午前10時現在も、バイクを運転していた30代の男性は発見されていない。
当局は同日午前3時30分頃、シンクホールに転落したバイクを発見し、それより前の午前1時37分頃には運転者のものとみられる携帯電話も見つけた。バイクはシンクホールが発生した地点から約30メートル離れた場所にあった。
当局はさらなる崩壊を防ぐため、シンクホール周辺の安定化を進めながら、重機を用いた土砂の除去作業を行う計画だ。
上水道管の破裂により大量の水が流れ込んだ影響で、シンクホール内部は「干潟化」した状態になっている。シンクホールに堆積した土砂の量は約6480トンと推定されており、当局は夜通しでシンクホール内にたまった水2000トンのうち、約1800トンを排水した。
救助隊員たちは潜水服を着用し、手作業で泥状になった土砂を掘り起こしながら捜索を続けている。しかし視界の確保が難しいうえ、シンクホール近くの上部に亀裂が確認されており、すでに弱くなっている地盤の状況もあって、さらなる崩壊の懸念から作業スピードを上げられない状況だ。
消防当局とソウル市によると、3月24日18時29分頃、江東区の大明(テミョン)小学校近くの交差点で、直径20メートル、深さ20メートルほどの大規模なシンクホールが発生した。
その影響で、片側6車線の道路のうち4車線が陥没。事故現場は、地下鉄9号線の延伸工事が行われている区間にあたる。
この事故で、30代のバイク運転者1人がシンクホールに落ちて行方不明となった。陥没直前に現場を通過した自動車の運転者1人も負傷し、病院に搬送された。
江東消防署のカン・チャンソプ消防行政課長は、午前6時40分頃に行われた第6回記者会見で「シンクホールまでおよそ80メートル地下に入り、手作業で土を取り除きながら人命の捜索を行っていたが、前日にシンクホール近くの上部で亀裂が発生したことを確認し、それ以上中に入ることができなかった」と述べた。
さらに「救助隊員たちは潜水服を着用して、地盤沈下によってできた空間に近づき、救助犬1頭も投入して捜索を行った」と説明した。
ソウル市は同日午前、今回の事故に関連する安全点検会議を開き、対策を協議する。
オ・セフンソウル市長主宰で開かれる緊急会議では、事故原因の究明、埋没者の捜索方針、今後の対応策などが話し合われる見通し。オ市長は予定されていた日程をすべてキャンセルし、行方不明者の捜索と救助など事故対応に全力を尽くすと伝えられている。
オ市長は前日21時20分頃に事故現場を直接訪れ、事故の概要とこれまでの対応について報告を受け、「今回の事故の原因を早急に突き止め、同様の事態が二度と繰り返されないよう最善を尽くす」と述べた。
シンクホールが発生した現場近くにある漢永(ハニョン)外国語高校、漢永中学校・高校、大明小学校など4校は、この日、自主休校を決定した。
(記事提供=時事ジャーナル)
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