韓国・釜山(プサン)市教育庁で、職員が約8億ウォン(約8000万円)もの公金を横領する前代未聞の事件が発生した。
釜山教育庁の関係者は5月21日、今回の横領事件について「海雲台(ヘウンデ)教育支援庁に所属する職員による横領が確認され、すでに監査に着手している」と明らかにした。教育庁は同職員A氏を横領容疑で警察に告発する方針で、口座の追跡を含む捜査への協力を要請する予定だという。A氏は庁内の部署で庶務業務を担当しており、5月19日付で職務から外されている。
事件が発覚したのは5月16日。A氏が深夜に法人カードを使用していたことを不審に思った関係者が内部調査を行い、商品券の不正購入が発覚した。通常、こうした支出には別の「支出担当者」の確認が必要だが、A氏自身がその役割も兼任していたことが、発見の遅れを招いた要因とされている。
教育庁は、A氏が2023年9月から2024年5月までの間に不正を繰り返していたとみているが、その期間、内部で異常を把握できなかった。税金の運用に対する監視体制の不備が、被害拡大につながったとの批判も強まっている。
今回の事件を受け、教育関係者の間では「請求と支出の業務を同一人物が担っていたことが問題だった」との指摘が出ている。業務を分離することで、相互に監視が働き、不正の抑止につながるという考えだ。
釜山教育庁の担当者も、「小規模な教育支援庁では、物品の購入と支出を1人の職員が担当することもあるが、本来は管理者による統制が必要だった。制度上の不備があったことは否定できない」と説明。今後は管理責任の所在についても調査を進める方針だ。
A氏が不正に流用した金額は、法人カードの私的使用や日常経費の横領などを含め、総額約8億ウォンに達する見込み。ただし、被害額の詳細は現在も調査中だ。
教育庁は「横領資金は違法なスポーツ賭博に使われたとみられる」としたうえで、「損失の回収が最優先と認識しており、回収可能な部分と困難な部分を区分して精査している」と説明している。
釜山教育庁での公金横領事件は今回が初とされており、キム・ソクジュン教育監も「事件の重大性を認識し、関係者に対して厳正に責任を問う」と表明。再発防止に向け、内部統制体制の見直しも指示した。
また、同規模の教育支援庁や関連部署への全数調査を求める声も上がっており、教育庁の担当者は「事業担当者が支出も兼ねている部署があれば、調査対象に含める」と述べた。
(記事提供=OSEN)
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