韓国では年末を前に、「スポーツ」「芸能界」「社会問題」など、さまざまな分野でその年を振り返る慣例がある。
それは経済界も同じで、今年の「時価総額」トップ企業はどこかという報道も出てきた。
韓国では2008年のリーマン・ショック当時の時価総額トップ100の企業のうち、現在までに25の企業がその座から脱落したという。業種別で見ると造船、海運、鉄鋼が敗れ、IT、流通、化粧品、製薬などの台頭が著しいとの分析が多い。
株式市場の時価総額は、その国の経済状況の現在地を端的に表す。
さっそく韓国企業の時価総額トップ10(12月20日現在)を見ていこう。
時価総額1位は、254兆9109億ウォン(約25兆4000億円)のサムスン電子だ。
韓国企業として圧倒的な時価総額となっており、16年連続でトップを維持する“不動の1位”となった。
その時価総額は世界でもトップクラスで、世界時価総額ランキング(2016年11月末時点)で見ても、第22位を記録。日本のトップ企業であるトヨタ自動車(27位)よりも上位にランクインしている。
韓国企業の時価総額で2位となったのは、半導体製造会社のSKハイニックス。時価総額は32兆8693億ウォン(約3兆2000億円)だ。
2016年当初の時価総額は10位だったが、5月9位、8月7位、9月4位、10月3位と上昇し、11月には2位となった。10月からは時価総額30兆ウォンで安定しており、1年4カ月ぶりに2位に復帰したかたちだ。
逆に、SKハイニックスに突き放された感がある3位は、現代(ヒュンダイ)自動車。
時価総額は31兆6096億ウォン(約3兆1000億円)で、韓国メディア『ニュース1』は「現代自動車はトランプ米大統領当選後、保護貿易主義の強化への予想に株価がぐらついている。トランプ米大統領当選後、3兆ウォン以上落ち、3位の座まで脅かされている」と分析した。
4位はサムスン電子・優先株(29兆4983億ウォン)、5位は韓国電力(29兆1772億ウォン)となっている。
日本でも知られるネイバー(NAVER)は、6位にランクイン。時価総額は25兆9416億ウォン(約2兆5000億円)となっており、2009年4月基準で7兆4838億ウォンだったが、ここ数年で4倍近くも急成長している。
以下、7位現代モービス(25兆2120億ウォン)、8位サムスン物産(24兆1854億ウォン)、9位サムスン生命(23兆ウォン)、10位ポスコ(22兆5813億ウォン)が時価総額トップ10に入った。
トップ10入りした企業を見ると、将来に対する不安が残るという指摘が尽きない。
LG経済研究院によると、韓国企業の時価総額の増加率は、2000~2005年は年平均28.4%。しかし、金融危機が発生した2006~2010年の間は13.6%に下落している。さらに2011~2015年にかけての増加率は、3.2%とさらに低い。
一般的に「会社丸ごとの価値」を意味する時価総額の大きさには、将来の成長に対する期待も含まれている。世界の時価総額が2012~2016年の4年間で20.3%増加したというのだから、韓国企業の躍動性が問題視されるのも頷けるだろう。
そのためか、とある韓国メディアは「2017年が危機に瀕した韓国経済が体質改善できる最後のチャンス」と警告している。
韓国企業の時価総額が今後どう変わっていくのか、注目したい。
(文=呉 承鎬)
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