なぜこの局面で支持率が急回復しているのか…韓国で与野党の支持率が4カ月ぶりに誤差範囲に、理由を探る

2025年01月14日 政治 #アンケート調査
このエントリーをはてなブックマークに追加

韓国の与党「国民の力」と最大野党「共に民主党」の支持率格差が、12・3非常戒厳事態以前の水準に回復したという世論調査結果が相次ぎ、原因分析をめぐって議論が多い。

【注目】「共に民主党」李在明を批判したら内乱扇動?

与党支持層の結集が進んでいるのはたしかだが、支持率の数字をそのまま受け取ることは、世論との乖離を生むとの見方が多くの政治専門家から指摘されている。

自動音声応答(ARS)方式の調査に伴う誤差や、積極的な支持層が過剰に抽出される可能性が問題として挙げられている。

支持率格差、4カ月ぶりに誤差範囲内に

リアルメーターが『エネルギー経済新聞』の依頼で、1月9~10日に全国18歳以上の有権者1006人を対象に実施した調査(信頼水準95%、誤差±3.1%ポイント)によると、「共に民主党」の支持率は前週比3.0ポイント下がり42.2%で、4週連続の下降傾向となった。

「共に民主党」李在明代表
(写真=時事ジャーナル)「共に民主党」李在明代表

一方、「国民の力」の支持率は4週連続で上昇し、前週比6.4ポイント増の40.8%に達した。2024年7月第3週以来、6カ月ぶりの高水準だ。両党の支持率格差は1.4%で、誤差範囲内に収まったのは2024年9月第3週以来、4カ月ぶりだ。

同じ週の韓国ギャラップの調査でも、「国民の力」34%、「共に民主党」36%と、両党の差は2ポイントにとどまった。

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領および「国民の力」の支持率上昇は顕著な流れだ。

内乱初期の衝撃を乗り越えた保守層が「政権喪失」を防ぐために結集した結果だという解釈がある。韓国リサーチが1月6~8日に実施した調査では、「保守」と答えた回答者が276人から328人へと大幅に増加したことがわかる。

強い保守性向を持つ人々が世論調査に積極的に応じる傾向が強まっていると分析されている。

しかし「国民の力」の支持率上昇分が、そのまま中道・無党派層の支持につながっているとは断定できないとの指摘もある。一部の世論調査で誘導的な質問が含まれている場合があるほか、調査過程で保守層の回答者が過剰に抽出された可能性も指摘されている。

時事評論家のキム・ジュンイル氏は1月14日、CBSラジオのインタビューで「2020年の大統領選でも同じ動きがあった」とし、「今の傾向は錯覚だ」と評価した。

さらに「世論調査が早期大統領選挙の局面に流れながら、保守層の結集が見られるのはたしかだが、両党の支持率を合わせても70%程度。残りの30%は誰を選ぶのか。結局、内乱か否か、戒厳が正しいか間違っているかという世論の分岐に行き着く。その割合は3:7だ」と指摘した。

尹錫悦大統領
(写真=韓国大統領室)尹錫悦大統領

「国民の力」は、最近の支持率上昇を「これまで沈黙していた支持層の結集」、または「共に民主党の強硬一辺倒の戦略による反射的利益」と解釈する雰囲気だ。クォン・ソンドン院内代表が支持率上昇について「我々がうまくやったわけではない」と述べ、謙虚な姿勢を求めたにもかかわらず、議員たちの間では楽観的な空気が漂っているとの分析がある。

その一例として、大統領が非常戒厳令を発令して内乱首謀者の容疑者となる状況下にもかかわらず、党論に従わなかったとしてキム・サンウク議員に離党を迫るなど、多数の議員が極端な強硬派の主張に同調している姿が挙げられる。

チャン・ソンチョル公論センター所長は、CBSラジオのインタビューで「国民の力の議員たちは非常に高揚している。チョン・グァンフン牧師や保守系ユーチューバーたちが『尹大統領を救おう』と訴える動画サムネイルを見ると、『尹大統領が復帰し、我々が大統領選で勝つ』といった主張が遠慮なく展開されている。非常に興奮した状態だ」と診断した。

共に民主党には危機感も

一方、「共に民主党」内では微妙な緊張感のなかで「内心の苦悩」が感じられる雰囲気だ。

公式的には「一時的な保守層の結集現象」として重要視しない構えを見せているが、異なる見解もある。

「共に民主党」のチョ・スンレ首席代弁人は1月13日、国会で記者団に対し「大局的に見て保守層が結集しているのは事実であり、それによって過剰抽出が起きているのも事実だ」とし、「不正選挙、正当な戒厳、弾劾は詐欺、令状は違法といったフェイクニュースの論理構造が彼らを結束させる理念的基盤となっている」と指摘した。

1月第2週の政党支持率は、共に民主党(青)42.2%、国民の力(赤)40.8%
(画像=リアルメーター)1月第2週の政党支持率は、共に民主党(青)42.2%、国民の力(赤)40.8%

しかし、支持率の格差が誤差範囲内まで縮まったことを受け、党内では「共に民主党」に対する「拒否感」を分析し、対応すべきだという声も高まっている。国家の危機を秩序立てて収拾する努力よりも、大統領選の計算に没頭しているかのような姿勢が中道層の支持を失う原因となったとの批判がある。

朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾当時とは異なる政治地形も、与野党の支持率格差が縮まった要因として挙げられる。

評論家のキム・スミン氏はSBSラジオで「朴槿恵元大統領の弾劾当時は、野党勢力が多元化していた。民主党、正義党、国民の党、バルン正党など、(自由韓国党の)支持層が離脱する先が多かったが、今は与野党二大政党の構図が非常に強固で、第3勢力から台頭する勢力もない」と分析した。

また、「『李在明(イ・ジェミョン、共に民主党代表)か、否か』という対立軸が形成された結果として現れた世論調査の結果だ」とし、「国民の力の支持率は『弾劾賛成』よりも広範な支持層を反映している可能性がある」と付け加えた。

(記事提供=時事ジャーナル)

「日本が恐れるなら選ばないと」“反日”とされる李在明を心配する日本…韓国で注目

日本を「地獄」と叩いた韓国歌手、日本公演へ…その“二枚舌”を意外な人物が痛烈批判

「絶対に投票したくない候補」でも1位…韓国“次期大統領”の呼び声高い李在明の光と影

前へ

1 / 1

次へ

RELATION関連記事

デイリーランキングRANKING

世論調査Public Opinion

注目リサーチFeatured Research