旧日本軍の慰安婦被害者を支援する韓国の市民団体が寄付金流用の疑惑を報じたメディアを相手に損害賠償を求めたが、1審で敗訴した。
ソウル中央地裁・民事29単独(イ・ゴンヒ判事)は2月19日、市民団体「正義記憶連帯(正義連)」が『朝鮮日報』や『TV朝鮮』などを相手取って起こした損害賠償訴訟で、原告敗訴の判決を下した。
正義連は2020年9月、『朝鮮日報』や『TV朝鮮』が同団体の寄付金流用や会計不正疑惑を報道したことで名誉が毀損されたとして、この訴訟を提起した。
具体的には、『朝鮮日報』が2020年5月11日付で公開した「正義連、イ・ヨンスさんに謝罪…寄付金の使用内訳は公開できない」という記事がある。
この記事では、正義連が4年間で寄付金49億7344万ウォン(約5億2000万円)を受け取ったものの、そのうち慰安婦被害者に支払われたのは2018年で1.9%、2019年で3%に過ぎなかったと報じられた。また、正義連が寄付金の使用内訳を公開していない点も指摘している。
正義連は、これらの“虚偽報道”によって被害を受けたとして5000万ウォン(約520万円)の賠償を求めたが、裁判所はこれを認めなかった。
裁判部は「正義連が寄付金の一部内訳は公開したものの、詳細な支出については明らかにしておらず、記事が虚偽であるとはいえない」とし、「記事内に正義連を侮辱する表現もない」と判断した。
また、正義連は記者らを刑事告発したが、警察はこれについても「嫌疑なし」として処分した。
今回の裁判結果は、妥当なものといえるかもしれない。そもそも正義連の元理事長が慰安婦被害者の後援金を横領していたのは事実だからだ。
元理事長で、元「共に民主党」議員だったユン・ミヒャン氏は2020年9月に起訴され、2024年11月に最高裁で懲役1年6カ月、執行猶予3年の判決が確定した。
正義連の後援金1億ウォン(約1050万円)を横領し、寄付金42億ウォン(約4億4000万円)を違法に集め、補助金3億6750万ウォン(約3800万円)を不正に受領した容疑で有罪が認められたのだった。
最近、慰安婦被害者として知られるキル・ウォノクさんが97歳で他界したことを受け、正義連のイ・ナヨン理事長が「キル・ウォノクさんの時間と願い、愛、勇気ある実践を、これからは私たちが受け継いでいく」と決意を新たにしていた。
その言葉通り、同団体が今後、本来の役割を果たせるのかが問われる。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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