日本では特殊詐欺被害が急増するなか、75歳以上の一日当たりのATM利用を30万円に制限する案が出ているという。
ただ、仮に制限が設けられたとしても、詐欺被害に遭う人が減らないのではないかとの声も少なくない。というのも、詐欺罪の罪が軽すぎることが本質的な原因と考える人が多いからだ。
一方、ボイスフィッシングなどの詐欺犯罪が増加中の韓国では、詐欺犯罪に量刑基準を大幅に強化することが決まった。
韓国の量刑委員会は3月24日、第137回全体会議を開き、詐欺犯罪、電子金融取引法違反犯罪、動物保護法違反犯罪、性犯罪に関する修正・新設量刑基準を議決した。
今回決まった新しい量刑基準は、7月1日以降に起訴される事件から適用される。
特に、ボイスフィッシングなど多数の被害が発生する犯罪に対する厳罰を求める声を反映し、高額詐欺犯罪および電子金融取引法違反犯罪の刑量が大幅に引き上げられた。
その内容を見てみよう。
詐欺犯罪の場合、得た金額が300億ウォン(約30億円)以上の組織的詐欺に対しては、従来の「11年以上」から最大で「無期懲役」まで言い渡せるようになった。
また、得た金額が50億ウォン(約5億円)以上の一般的な詐欺や組織的詐欺についても、特別調整によって「最大17年まで」の刑量に引き上げられた。従来は「11年」が上限だった。
あわせて、5億ウォン(約5000万円)以上50億ウォン未満の詐欺でも、従来の最大「9年」が「11年」へと引き上げられている。
電子金融取引法違反犯罪については、法定刑が従来の3年以下から5年以下の懲役に引き上げられた点を反映し、量刑範囲も上方修正された。営利目的・組織的、あるいは犯罪利用を目的とした犯行に対しては、特別調整を通じて最大5年まで処罰可能となった。
本サイト提携メディア『時事ジャーナル』が2024年1月から10月までに、「特定経済犯罪加重処罰法」違反で懲役刑が言い渡された判決文311件を分析した結果、被告人たちが受けた平均刑期は3.08年に過ぎなかった。
特定経済犯罪加重処罰法は、一定額以上の規模で発生した詐欺、横領、背任などの特定経済犯罪に対し、刑法よりも重い処罰を課す法律だ。しかし、平均刑期は3.08年で、最低懲役3年と規定された同法の下限をわずかに上回る水準というのが現実だった。
つまり多額の詐欺を働いても刑が軽いため、「やり得」という状態だったのだ。
そこで今回、大幅に量刑を引き上げたわけだが、新たな量刑基準を設けても効果は薄いのではないかとの指摘もある。あくまで「最大量刑」が引き上げられただけで、「最低量刑」に変わりがないからだ。これについては実際の判例が出るまで注視が必要だろう。
いずれにしても高齢者が増えるなかで詐欺被害者が増加する傾向は、日本と韓国で共通の社会問題だ。ATMの上限や量刑の引き上げなどの対策がどんな効果をもたらすか、今後の動向を見定めたい。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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