ガールズグループの中には、“慰問公演専門歌手”を謳うグループも出ている。
例えば(当時)「ババ」という6人組みのガールズグループだ。軍服をメインコスチュームにし、「兵長」などの腕章までつけている。彼女たちが今後活躍できるかどうかは定かではないが、国防部が承認する軍事雑誌『PLATOON』(2015年3月号)の表紙を飾るなど、滑り出しは上々のようだ。
また、慰問公演に引っ張りだこという「BESTie」のメンバーは、自分たちが軍人に好まれる理由について、メディアに答えている。
「慰問公演は普通の音楽放送とは違い、カメラを見ることがありません。そのかわり、軍人の方たちの目を見て、アイコンタクトを送っています。そうすると喜んでくれる」
BESTieのメンバーは、「除隊したら絶対にファンミーティングに来てくださいね!」などとも語っている。ガールズグループにとって慰問公演は“下積みの営業”のようなものか。
慰問公演は、軍人にとってもガールズグループにとっても貴重な場と言えそうだ。
しかし、そんな慰問公演に最近、変化が出てきているとの報道がある。慰問公演自体はあるのだが、出演するガールズグループの格が下がっているというのだ。
皮肉にも、その原因は、芸能兵制度の廃止にあると考えられている。芸能兵制度の廃止前は、認知度の高い男性芸能兵が当該公演に出演することになると、企画会社のコネなどを通じて、同じ事務所に所属するガールズグループなどが出演することがあった。
また、芸能界の慣例上、芸能兵の大物スターたちが公演に上がるとなれば、出演するガールズグループたちの格も自然に上がっていた。例えば、芸能兵だったPSYやRAINの出演が決定すると、彼らの格に合う知名度の高いガールズグループが出演していたのだ。
しかし芸能兵制度が消えた最近の状況では、かつての水準のガールズグループを呼ぶ“交渉力”を期待することが不可能になってしまった。