防げたはずの事故が起きてしまうことがある。特にお隣・韓国ではそういった不注意による事故や“人災”が少なくない。
例えば昨年6月17日、クーパン社の物流センターで発生した火災事故だ。事件当日の現場労働者の証言によると、火災発生初期にスプリンクラーが作動すると管理者が誤作動だとして切ってしまったという。あまりの危機意識の低さに、批判が殺到したことはいうまでもない。
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その1週間ほど前の昨年6月9日には、光州(クァンジュ)広域市で撤去中だった建物が崩壊し、市内バスを襲い、9人が死亡する事故が発生した。この事故も人災といわれており、工事の施工主であるHDC現代産業開発が、大規模工事現場の周辺にあるべき安全設備や臨時バス停留所などを設置しなかったことが悲劇につながったとされた。
気になるのは、不注意や意識の低さによって発生した事故について、韓国国民がどう考えているかだ。それを知るための一助となるのが、韓国国土安全管理院が4月7日に公開したアンケート調査の結果だ。
それによると、「不注意による事故が起きたとき、どう感じるか」という質問に、全体の74.6%が「自分にも事故が起こる可能性があると感じる」と答えた。さらに「自分にも事故が起きる可能性が非常に高く、怖いと感じる」という回答も18.1%に上った。
つまり韓国国民の93%が防げたはずの事故に接すると、自分も経験するかもしれないと危機感を持つわけだ。
しかしその危機意識は衝撃的なニュースに接した瞬間だけ出てくるもののようだ。「普段の生活で安全だと感じるか」という質問に対しては、「安全だと感じる」という回答が84%に達しているからだ。
不注意による事故の最も大きな原因として、「安全に対する警戒心が不足している」(21.1%)が最も多く挙げられているのが、なんとも皮肉な結果ではないだろうか。
前述した光州での建物崩壊事故は、2019年7月にソウル蚕院洞で起きた5階建てビルの崩壊事故とそっくりだ。その崩壊事故では、撤去作業中だった5階建てビルが崩れ、現場付近を走行中だった車両3台が建物外壁の下敷きになった。その事故も、建物建築主が撤去業者として推薦した業者を監理者に雇用していたことが明らかとなり、人災と批判された。
定期的に韓国で起きている不注意による事故は、その時々で人々を緊張させるが、すぐに忘れ去れるのが現実だ。根本的な対策を練り、二度と悲劇が起きないように努めてほしいが、はたして。
(文=サーチコリアニュース編集部)
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