日本より熾烈で想像を絶する「韓国受験戦争」の知られざる実態

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例えばソウル地方警察庁はソウル地域の受験生のためにスヌン当日に特別交通管理を行う。

地下鉄の駅周辺に「受験生を乗せる場所」を100カ所以上も設け、パトカーやタクシー450台以上を配置するという。ソウル地域の各受験会場には、2600人余りを配置して、特別な交通整理を行うそうだ。

パトカーに乗って試験会場入りする受験生

逆にいえば、警察が特別な交通整理を要求されるほど混乱するわけだが、実はそうなるのには理由がある。

受験生が試験会場を知るのは、なんと試験前日なのだ。受験生たちはスヌン前日(今年は11月16日)に受験票を受け取って、ようやく自分がどこで試験を受けるのかを知ることになる。カンニング防止のためだという。

その徹底ぶりは、スヌンに携わる出題・検討委員、行政職員、管理要員らにも及ぶ。試験問題の流出などを防ぐために、彼らはスヌン当日までの約1カ月間、合宿という名の“監禁”生活をさせられるらしい。

全大学の入試試験を兼ねているスヌンで高得点を取り、いい大学に入る。そのための一発勝負なだけに社会が受験生を優先するわけだが、先日、とある有名講師が「この国では勉強する必要がない」などと発言して物議を醸した。

ただ、そう感じてしまっても仕方がないかもしれない。近年の韓国では大学を卒業しても、就職が難しいという現状がある。韓国統計庁によると、大卒失業者は約30万人に上り、大卒失業者が失業者全体の30%以上を占めることも少なくない。

そもそも韓国の大学進学率は、OECD加盟国のなかでもトップクラス。2010年基準のデータを見ると71%となっており、日本(51%)に比べると数字の高さがわかりやすいだろう。

ただ超学歴社会であるがゆえに、学歴詐称が話題になることも少なくない。

いずれにしてもスヌン当日である今日だけは、受験生優先になる韓国。一人でも多くの受験生がトラブルなく、持てる実力を発揮できるように願うばかりだ。

(文=慎 武宏)

*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。

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